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日頃のイライラがワクワクに変わる“働きがい心理学”とは?ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

日々仕事の中で、部下のスキル不足や結果の出ない行動にイライラしていないだろうか? 人によっては、そんなイライラを感じる自分にもイライラしている人もいるだろう。そんなイライラ感情から抜け出し、ワクワク感情になるには?

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 3つの壁を越えるための具体策としては、書籍の中で伝えている3つのコミュニケーションが必要となってくる。

 1つ目は自己内省だ。これは自分とのコミュニケーションといえる。自分の中にある仕事で大切にしたい事や生かしていきたい強みを、マネジメントや自身の仕事の中で生かすためには、どのような考え方や働き方が必要なのかを考えていく。

 2つ目は、部下との面談だ。定期的に1対1の面談機会を設け、部下を理解し支援につなげていく。コミュニケーション方法については、部下の能力ややる気に合わせて、ティーチング型コミュニケーションとコーチング型コミュニケーションを使い分けていく。

 3つ目は、組織内対話だ。昔は飲み会で社内交流をすることができたが、今は意識してコミュニケーションの場を作る必要がある。その時々の課題や話題を題材にミーティングの場を設け、相互理解を促していくのである。

 管理職がこれら3つのコミュニケーションにより3つの壁を乗り越えることができれば、管理職としてのゆるぎないマインドが醸成され、自身が元気になっていく。さらに部下とのゆるぎない信頼関係は部下をも元気にしていく。そして、組織内の関係の質が高まることによって、今まで以上に高い組織成果を生み出すことができ、仕事のやりがいや働きがいが組織に広がっていくのだ。この「働きがい」の好循環を生み出していってほしい。

 最後に、管理職自身が日常から心掛けてほしい5つのポイントを紹介する。

 1つ目は、定期的なピットイン(内省)の時間を持つことだ。日々の忙しさに流されていては、働きがいを感じることができない。

 2つ目は“ワクワク“することを軸に、自身の人生をつくることだ。働きがいの源泉は、自身の情熱を傾けられる仕事にある。どのように仕事をすすめていったら”ワクワク“するのかを常に考えてほしい。

 3つ目は、日頃から心の声に意識を傾けることだ。日々の違和感や疑問を大切にしてほしい。そこに人と組織に働きがいを育むヒントが隠されている。

 4つ目は、目の前の事象や他者からの言葉を、フィードバックと捉えてほしい。人生で起こることに無駄なことはない。必ず後から振り返ってみると、自身の成長を促しているはずである。

 5つ目のポイントは、他者の自己重要感を満たす関りを意識することだ。管理職の皆さんなら、部下の自己重要感を満たす関りになる。人間の脳は、自己に対して行ったことと、他者に対して行ったことの区別がついていないといわれる。部下の自己重要感を満たす関りは、自身の自己重要感も満たしていくのである。

 以上、管理職の皆さんに「働きがい心理学」をベースとした組織運営のポイントを伝えてきた。“自己重要感”と“自己成長”をベースとした「働きがい心理学」の実践が、管理職、部下、ひいては世の中を明るくしていくことを願っている。日常使いでの「働きがい心理学」を、お役立ていただきたい。

著者プロフィール:田岡英明

株式会社働きがい創造研究所 取締役社長 / 株式会社FeelWorksエグゼクティブコンサルタント / 国家資格キャリアコンサルタント / 全米NLP協会公認 NLPトレーナー

1968年生まれ。東京都出身。これまで300社超、のべ25000人以上に対して「働きがい」や「リーダーシップ」を伝授してきた「働きがい心理学」の第一人者。山之内製薬株式会社(現在のアステラス製薬株式会社)でMRとして優秀な成績を収める一方、若手を育てる勉強会「ひよこ倶楽部」を独自開催。現場で培った人材育成の力を多くの企業に伝えるために、2014年に株式会社FeelWorksへ入社。管理職向けのマネジメント研修や、若手・中堅向けのマインドアップ研修など、多くの企業研修で講師として活躍。また、迷える若手からシニア層まで幅広く支援するキャリアコンサルタントとしても活動中。2017年に中小企業の人材育成支援や、働きがいを育む講師として活躍したい人をプロに養成するために株式会社働きがい創造研究所を設立し、取締役社長に就任。「働きがい」をテーマにした組織開発や、実践心理学NLPを応用したトレーニングを展開している。著書に『マネジメントのイライラが消える! 実践「働きがい心理学」』(FeelWorks)、共著に『一生働きたい職場のつくり方』(実業之日本社)、『ダイバーシティの教科書』(総合法令出版)など。


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