データ活用でエンターテインメントの未来をつくる――バンダイナムコネクサス:デジタル変革の旗手たち(2/2 ページ)
デジタル化が急速に進んでいるエンターテインメント業界において、データ活用の重要性はますます高まっている。バンダイナムコネクサスでは、データ活用により、どのような価値を生み出し、どのような未来のエンターテインメント像を描いているのか。その取り組みについてITmediaエグゼクティブ プロデューサーの浅井英二が話を聞いた。
「現場では、新しい製品がどれぐらいヒットするか、どれくらい売れるかを見込んで生産数を決めたい、という要望があります。過剰在庫や機会損失を少なくしたいからです。現在、独自に構築した予測モデルの通りに発注するシミュレーションを行ったところ、過剰在庫を減らすことができ、数億円の利益貢献が見込めるという結果が出ました。この結果だけですべての意思決定がされるわけではありませんが、こうした取り組みを重ねていき、企業文化を形作っていくことが必要です」と吉村氏は話す。
究極的に実現したいのは顧客体験や提供価値の向上
エンターテインメントは、テクノロジーの進化と非常に近い領域にある業界だ。スマートフォンにしろ、ビッグデータ分析にしろ、XR(Extended Reality/Cross Reality)やNFT(Non-Fungible Token)にしろ、市場で流行る先端テクノロジーとエンターテインメントの相性は悪くない。ChatGPTを組み込んで、リアルタイムに会話ができるようになっているゲームも登場している。しかし、西田氏は、「エンターテインメントを進化させるのは必ずしも最新技術だけではありません。足元の顧客体験を分析することも続けていきます」と話す。
「究極的に実現したいのは、顧客体験や提供価値の向上です。ゲームはインタラクティブな体験ができる世界なので、今後さらにリアルタイムに複雑なシナリオを実現できるようになるでしょう。データ分析により、お客さまを理解し、お客さまと一緒にエンターテインメントを作る未来が来ると考えています。それに最新技術が加わって、人それぞれの楽しみ方や嗜好に基づいた、より楽しく、より感動的なユーザー体験を提供できるはずです。もちろんIPが持つ世界観は確固としたものですが、ユーザーごとにうまく個別最適化していくことでより良いユーザー体験を提供したいと考えています」と西田氏は話す。
聞き手プロフィール:浅井英二(あさいえいじ)
Windows 3.0が米国で発表された1990年、大手書店系出版社を経てソフトバンクに入社、「PCWEEK日本版」の創刊に携わり、1996年に同誌編集長に就任する。2000年からはグループのオンラインメディア企業であるソフトバンク・ジーディネット(現在のアイティメディア)に移り、エンタープライズ分野の編集長を務める。2007年には経営層向けの情報共有コミュニティーとして「ITmedia エグゼクティブ」を立ち上げ、編集長に就く。現在はITmedia エゼクティブのプロデューサーを務める。
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