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ビジネスアナリシスは誰もが使える思考と行動の基盤――ビジネスアナリシスの原点は日常生活の中にあるビジネスとITを繋ぐビジネスアナリシスを知ろう!(2/2 ページ)

日常生活やビジネスの世界で、課題や問題に対応する考え方や解決の方法が整理された概念として提供されるならば、多くの課題や問題に対しても効果的かつ効率的に活用できるはずだ。そのような概念がビジネスアナリシスであれば、誰にとっても理解しやすい概念だ。

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ビジネスアナリシスは「道具箱」

 ビジネスアナリシスの実行には特別な理論や手法はなく、日常利用している思考と行動の手法と、それらの利用上の知恵と情報が詰まっている「道具箱」だと考えるとよいでしょう。

 「道具箱」には「基本概念」に始まり、「利用できる道具」とともに「どんな場面でどう使うか」「何をしなければならないか」「誰が関与しているか」「何をどう判断するか」「利用者のマインドセット」「実行上の注意事項」など多くの知恵とノウハウが収められています。

 新たなプロセスや最新の技術を取り込めばさらに高度な道具箱になります。そのような知識の詰まった「道具箱」の活用により、利用する人たちは意思決定の能力を高め、組織の文化として定着させることにより、高度なビジネス変革を実現できる無限の可能性を得ることができると言えます。


ビジネスアナリシスは思考と意思決定の「道具箱」

現状の正しい認識が課題解決の出発点

 日常生活においても、ビジネスにおいても、課題解決の出発点は現状の正しい認識です。出発点が誤っていれば議論は誤った方向へ進みます。先入観を捨てて、課題の本質を捉えます。何が問題なのか、原因は何か、誰が関与しているのかを特定し、自分たちの環境と能力を理解し、解決の目標を定め、どうやって解決するか、誰が実行するか、いつまでに完了したいのかを認識し、解決の具体策を「道具箱」にある種々のノウハウと知恵に照らして判断し、実行手段と処理の具体策を構築します。

 この間にできるだけ多くの関係者と連携し議論を反映することが大切です。途中で修正のフィードバックを繰り返すこともあります。効果的に解決策を構築するために、「道具箱」からどの「道具」を使うか、場面によって「何をしなければならないか」や「利用上の注意事項」を参照することで見落としなく判断し実行することができます。どの「道具」を利用するかは参加者の議論により確認することも必要です。

人の「こころ」と行動意識が大切

 判断や行動の合理性が求められている一方で、ビジネスに関わる人々の意識の重要性が問われています。論理や技術的な能力だけでなく人間性に裏付けされた人々の「こころ」と行動意識がビジネスをリードし、ビジネスアナリシスを実行する基盤として大切です。特に、トップマネジメントの意識は重要です。行動の意識がなければ何も始まりません。

著者プロフィール:上田靖之(うえだ やすゆき)

1963年日立製作所入社。原子力プラントの研究開発に必要なシステム開発のために情報処理技術を習得。設計、製造、プラント建設のあらゆる場面への情報技術の導入をはかってきた。設計のCAE、CAD、に始まり、工程管理、プロジェクト管理、購買、在庫管理、原価管理、文書管理など対象を限定せず情報共有による簡素なシステムの視点に基づきシステム開発を推進。実務では新型炉の研究開発からプラント建設までを担当。米国GE社、Bechtel社等との連携事業による知見も多い。その後、海外を含む全社の情報システム部門を統括。後に日立化成へ移り、経営システムの情報化推進と情報システムの統括役員としてBPR推進室長、常務取締役、常勤監査役を歴任し人材育成と経営幹部へシステム刷新の必要性を説く。退任後日立製作所支社顧問、コンサルタント会社役員、顧問等にて経営戦略を支援。IIBA日本支部には設立時より参画。研究部会、BABOKRV3、POA概論の翻訳チームに参画。ビジネスアナリシスは思考と行動の基盤であることを平易に伝える努力を続けている。

■参考資料

  • 本記事の内容に関連して、2012年12月から68回にわたりIIBA日本支部のブログに掲載記事された「ビジネスアナリシスを考える」をIIBA日本支部のホームページにまとめて再掲されています(ダウンロード可:273ページ))。

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