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» 2008年10月08日 09時00分 UPDATE

問われるコーチング力:隣に座っている部下の価値観を知っているか? (1/2)

数々の功績を残した王監督率いるソフトバンクホークスと「ディズニーランド」を運営するオリエンタルランド。双方の組織に共通するのは、すべてのメンバーがお互いの価値観を把握していることだという。

[細川馨(ビジネスコーチ),ITmedia]

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 王監督が辞任を発表した。福岡ソフトバンク(ダイエー)ホークスを率いて14年。一昨年は胃がんを患った時期もあったが、すぐに現場に復帰した。就任当時は観客動員数でセ・リーグに大きな差をつけられていたパ・リーグだが、この間に状況は大きく変化し、セ・リーグと変わらないほどの観客を集めるようになった。王監督の功績が大きいと指摘する人は多い。

 王監督はグラウンドの外でもきちんと振る舞うというスターの心得があり、疲れても不調でも分け隔てなくファンに接するように努力した。この“王イズム”が球団にも浸透し、多くのファンを獲得した。ソフトバンクは巨人、阪神に継ぐ観客動員数を誇るまでになった。また、地域密着型のモデルとして、日本ハムや楽天などの成功にもつながったのである。

 王監督を慕う選手は多い。大リーグで活躍する城島選手は、「監督と話すと原点に立ち返れる」(日経新聞2008年9月24日付)と言う。松中選手は、2006年のワールドベースボールクラシック(WBC)の際には、王監督を胴上げしたいと言ってはばからなかった。

 王監督の価値観がチームの中で共有され、3度のリーグ制覇(うち2度日本一)という好成績を残しファンを魅了したのである。ソフトバンクがこれほどの実績を残せたのはなぜだろうか? わたしは、王監督を信頼し、監督の価値観にチームのメンバー全員が共感したからだと考えている。

12の価値観を組織全員で共有

 前回、ビジネスコーチングモデルの中から「ビジョン」について話したが、今回は「価値観」について触れたい。価値観とは、仕事に対する目的や意識、つまり何のために仕事をしているのかということである。

 以前、「あの人と、なぜ意見が食い違うのか?」のコラムで、12の価値観を紹介した。個人の価値観がそれぞれ異なり、その違いを認識することが大切だと話した。今回は、チームや組織の価値観という観点から話したい。

 おさらいになるが、12の価値観とは、(1)承認、(2)名誉、(3)成長、(4)信頼、(5)達成、(6)金銭、(7)自由、(8)安全、(9)貢献、(10)家族、(11)責任、(12)独立である。組織に属するメンバーがどんな価値観を持っているのか、リーダーは知っておく必要がある。それぞれが自分の価値観を認識し、リーダーがメンバーの価値観を知った上で、チームや組織全体の価値観を定めていく。

 ここで気を付けなくてはならないのは、個人の価値観について考える時間を設けずに、組織の価値観を作ろうとしてもまとまらないということだ。必ず個人の価値観を確認し合い、お互いの価値観が違うということを前提としてから、このステップに進んでほしい。

 組織の価値観を決める際には、「どのような共通の価値観を持てば、より強いチームになるか」というテーマで、メンバー全員で議論する機会を設けてほしい。そうすることで、組織の価値観がより明確になる。決して多数決などで決めず、全員で納得いくまで話し合い、最大3つまで価値観を絞り込み、優先順位を決めていく。この話し合いのプロセスが、チームの一体感を作り出す絶好の機会にもなる。

 価値観を作ることは、組織が何のために仕事をしているのかを明確にすることなので、メンバー全員が納得できなければならない。共感できないメンバーは、その価値観に基づくチームの行動や判断に抵抗を覚えるからである。1人でもそのようなメンバーがいる限り、組織は停滞してしまう。リーダーは組織の価値観を作るための時間を惜しまないでほしい。

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