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» 2018年02月05日 07時26分 公開

VUCA時代の必須ツール「シナリオ思考法」:組織におけるシナリオプランニングの実践方法――テーマの設定方法 (1/2)

シナリオテーマは、シナリオプランニングのプロジェクトやワークショップの「入口」として位置付けられるもので、3つの要素を検討する必要がある。

[新井宏征,ITmedia]

前回の記事では、プロジェクトでシナリオプランニングを活用することを想定して考案した、シナリオプランニングのプロジェクトマネジメントモデルを紹介しました。今回からはシナリオプランニングのプロジェクトの中核となる、ワークショップの流れを図1に従い、ステップごとに紹介します。今回は最初のステップ「シナリオテーマ設定」を見ていきます。

図1:シナリオ作成の一般的なプロセス

シナリオテーマ設定の重要性

 図にも書いている通り、シナリオテーマというのは、どのようなテーマでシナリオを作成するのかを定めたものです。例えば「10年後、2028年の日本における消費生活」というような形で設定するのがシナリオテーマです。これに基づいて、図1の残りのステップを進めていきます。

 ここから分かるように、シナリオテーマとはシナリオ作成の全てに影響を与える非常に重要なものです。具体的には、このテーマに基づいて、世の中の変化の兆候を示す外部環境を分析(ステップ2)し、それに基づいて10年後の世界がどのようになるのかを検討(ステップ3〜5)します。シナリオテーマとはいわばシナリオプランニングのプロジェクトやワークショップの「入口」として位置付けられるものです。

 そのため、ここで間違った「入口」に入ってしまうと、その後、いくら正しく進んでも望んでいる場所にはたどりつけません。プロジェクトやワークショップで望ましい結果を出すためにも、この後の内容を踏まえて、シナリオテーマの設定は慎重に行いましょう。

シナリオテーマ設定の基本的な考え方

 まずシナリオテーマ設定の基本的な考え方を紹介します。冒頭で示した「10年後の日本における消費生活」というのがシナリオテーマの例です。

 シナリオテーマを考える際には、次の3つの要素を検討します。

  • 期間:何年後のことを考えるのか?
  • 場所:どの地域のことを考えるのか?
  • スコープ:どのような範囲で世界を切り取るのか?

 1つずつ見ていきましょう。まず「期間」では、何年後の未来なのかを考えます。私が関わるプロジェクトやワークショップの場合、特に理由がなければ例として挙げた「10年後」のことを考える設定にします。背景にあるのは、この後紹介するスコープの部分を踏まえて、普段なら考えないような先の未来の期間を設定するということです。例えば、自社の中期経営計画が3年間の場合は、それよりも長い期間で設定します。

 期間があまり短過ぎると近未来過ぎて思考が広がりません。逆に長過ぎると先過ぎて、妄想のような非現実的な未来の世界しか考えられなくなってしまいます。期間が短い場合は、この後のステップの「外部環境分析」が比較的やりやすくなりますが、期間が長い場合はそれだけ先のことを考える材料を得るのが難しく、外部環境分析に通常よりも時間がかかる可能性があります。このように、期間の長短の特徴を踏まえて、その間を取ったバランスのいい長さにすることが重要です。

 また、考えるテーマの内容によって長さを検討することもあります。非常に変化の速いものをテーマとして設定するのであれば10年より短い期間の場合もありますし、比較的緩やかに変化するものをテーマにする場合は、10年以上の期間にすることもあります。

 しかし、実際にはそのような目安を意識しながらも、前回の記事でも紹介したようにプロジェクトやワークショップの目的を踏まえて総合的に考えていきます。

 続いて「場所」です。例として挙げたテーマでは「日本における」としている部分が相当します。ここをどう設定するかによって、期間と同様、その後のステップの難易度が変わってきます。

 場所を「日本」した場合、例えば今後の人口動態がいかに変化するか、税制や技術に関する政策はどう変わっていくかなどの要因について、日本の動きだけを考えることになります。しかし場所を「アジア」と広く取った場合、例えば人口動態を考えるといってもアジアを1つとして捉えることはできません。すでに2004年でピークを超え減少傾向にある日本をはじめ、2025年にピークを迎える韓国、2030年にピークを迎える中国、2035年にピークを迎えるシンガポールなどもあれば、2050年に向けて人口が増え続けるインドやインドネシア、フィリピンなどもあります(内閣府「2030年のアジア」参照)。

 このように、場所の範囲を広く取ってしまうと、そこに含まれる国や地域の状況の違いを含めて分析をしなくてはいけません。そのため、プロジェクトやワークショップの難易度も高くなり、労力もかかる点を考慮して、場所をどうするかを検討するといいでしょう。

 最後に「スコープ」です。例として挙げたテーマの「消費生活」部分になります。ここではプロジェクトやワークショップにおいて、何を考えたいのかを明らかにします。例として挙げたテーマでは「消費生活がどのようになっているか?」を考えたいということになります。

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