小松裕の「スポーツドクター奮闘記」
ソフトボール・斎藤監督との「声出し作戦」の思い出(1/2 ページ)
長野のオリンピックスタジアムでソフトボールの斎藤春香監督とトークショーをしてきました。ご存じ、北京オリンピックで見事金メダルを獲得した、「世界一」の監督さんです。
米国との決勝戦、上野投手の力投、宇津木前監督の絶叫、わたしは野球日本代表チームのドクターとして帯同していたので、北京の宿舎で選手たちとテレビ観戦していました。ソフトボール選手たちの姿を見て、「よし、次はおれたちも」と思いました。あれからちょうど1年、あっという間です。
斉藤監督とはもう長い付き合いになります。彼女はアトランタ、シドニー、アテネと3回のオリンピックに選手として出場しました。わたしも、シドニー、アテネとソフトボールのチームドクターとして一緒にいましたから、気心は知れています。青森県弘前市の出身で、いかにも東北人らしい、真面目で黙々と働くタイプです。
ベンチで2人並んで大声を出す
特に思い出深いのは、シドニーオリンピックのとき、ベンチの中で2人並んでひたすら大きな声を出しまくった、いわゆる「声作戦」の思い出です。
シドニーオリンピックが開幕し、わたしは初戦の前にあの宇津木監督に呼ばれました。
「こまっちゃん、あんたベンチに入ってもらうことになったから。ベンチに入るからには、何をやればいいか分かっているのでしょうね」。
すなわち、「ベンチに入るからには、チームの一員として、何でもやりなさいよ。声もしっかり出しなさいよ」というわけです。命令通り、ベンチから大きな声を出していると、宇津木監督は、今度は選手たちに言います。
「お前らー、小松先生より声が小さいじゃあねえかー」
つまり、初めからそのつもりなのです。一体感が出ます。さすが宇津木監督です。
ソフトボールの場合、そもそも登録できる選手が少なく、守備についているときはベンチには数人しか残りません。斉藤監督は指名打者なので守備につきませんから、いつもベンチにいました。ですから、ピンチになると「先生、そろそろ声作戦いきますよ」との合図で、いつも2人並んで声を出していました。特に、予選で米国を破った試合のことはよく覚えています、毎回ピンチの連続でしたが、耐えて、耐えて、ついに米国との公式戦で初勝利を手にしました。
ソフトボールは球場が狭いので、ベンチの声が打者によく聞こえます。「頑張れー」、「大丈夫だぞー」、「ナイスピッチング」とひたすら大きな声を出し続けることによって、打者の集中力をかき乱すのです。斉藤監督の話によれば、その後の世界大会で米国がまったく同じ手段をとってきたそうです。米国の選手に話を聞くと、「シドニーであれをやられて本当に嫌だった」とのこと。声作戦はそれなりの効果があったようです。そう考えると、自分も一緒に戦えたような気がしてうれしくなります。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「大企業は一朝一夕には変わらない」 NTTデータ冨安寛氏がAI時代に重視する原理原則
-
2
なぜ答えが揺れ、堂々と間違えるのか ―― 確率で動く生成AIの正体
-
3
初心者向けの料理教室、男性受講生が過半数に 家庭での調理頻度も増加
-
4
ほんのちょっと心の持ちようを変えるだけで、人生も毎日も変わる
-
5
チェキの新製品、タッチパネル式大画面を初搭載 富士フイルムが2機種新発売へ
-
6
「仕方ないインシデント」まで全力を尽くせるか - さくらインターネット 江草氏
-
7
第55回:「誰が言ったか」で判断していないか──SNS時代、エグゼクティブに必要な「空気に逆らう力」
-
8
子供の夢をYouTuberからホワイトハッカーに! 具現化を進めるCISO - GMO 牧田氏
-
9
コミュニケーションの質が一変! 心理カウンセラーの「聞く技術」とトレーニング法
-
10
イオン、フィジカルAIで物流改革 配送拠点の自動化率5割達成 深刻な人手不足に対応
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー