生き残れない経営
悪しき習慣、昔の職制を持ち込むOB会(1/2 ページ)
企業を退職した人々で構成する企業OB会が盛んだ。会社全体、事業所ごと、あるいは部署ごとにOB会があり、ありし良き時代の懐古感に浸り、旧交を温める良い機会といえよう。しかし、昨今の経営環境の悪化で企業業績が低迷してくると、旧交を温めるだけでなく、現役に物申すOBが出てきたり、OB会そのものが物申す機能を果たそうとしたりする場合がある。
ただし経験から言うと、OB会はOB同士の懇親を深めることに専念すべきである。筆者が現役のころ、忙しい中をしばしば訪ねて来るOBたちに長居され、業務指示された挙句、後日フォローアップまでさせられるなど、つくづく閉口したものだ。それが会として組織的に関与されてはたまったものではない。経営環境や経営のやり方は昔とは違い刻々と変化しているし課題の優先順位もあるのだ。
OBになれば全員平等
OB会に昔の職制を持ち込むべきではないというのも主張したい。現役時代の職制や地位は、企業経営を遂行するための1つの手段でしかない。もちろん長幼の序は重んじなければならないが、企業を卒業すると全員誰もが一人の人間に戻るのだ。
OB会の長に、現役時代のリーダーが自動的に就任するのもおかしい。会食の席が現役時代の職制順というのも間違っている。OBになれば全員平等で、現役時代の職制と無関係に選出したり設定したりすべきだ。もし序列を作るなら長幼の順とすべきだ。とは言うものの、筆者の関係するOB会でもそれをすべてに実行できていない。慣習は根強いのだ。
ただし、数あるOB会の中では、決めごとや会話がほとんど現役時代の職制に縛られているにもかかわらず、現役時代の職制に無関係の自由闊達(かったつ)な付き合いや会話が交わされる場面も見かける。職制の上位にいた者はじっくり聞く耳を持ち、部下であった者はのびのびと意見を開陳している。そこからOB会の運営や、各人の趣味、生き方などにまったく新しい試みやヒントなどを思い付く。この場合、昔の上下間で理想的なコミュニケーションが成り立っているわけだ。
もともとそれをできる人とやろうと努力する人がいる一方、昔の職制の虜になってしまい呪縛から逃れられない者もいる。それは論外とする。
自ら壁を作るな
OB会に出るたびに、なぜ現役時代にそういう理想的なコミュニケーションができなかったのか、もしできれば、企業はもっと良い方向に向かっていただろうと思う反面、OB会と異なり現役時代はドロドロした利害が絡んでおり、そんな理想的なコミュニケーションなどできるはずがないということもある。ただし、コミュニケーションを阻害する最たる原因は、当事者間に壁があるからだ。「忙しくて部下に接する時間がない」、「実績も出せないやつの意見など聞きたくない」、「上司は恐れ多くて近寄り難い」、「実績がないから発言権がない」など、上司も部下も何かと言い訳を用意して自ら壁を作ってしまう。
OB会でコミュニケーションが成り立つのは、曲がりなりにも「一人間」としてお互いの存在を認め合っているからだ。であるならば、現役時代もお互いに「一企業人」として存在を認めればよい。その意識変革に壁を取り払うこつがある。
しかし、意識変革は必要条件にしか過ぎない。コミュニケーションの技術という十分条件が不可欠である。
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