論点思考のススメ
商品鮮度を最優先に掲げたカルビーの経営改革とは(1/2 ページ)
アイティメディアは2月19日、経営層向けのセミナー「第12回 ITmedia エグゼクティブセミナー」を開催した。特別講演には日本を代表するスナック菓子メーカー、カルビーの前社長で、現在は相談役を務める中田康雄氏が登壇し、鮮度や品質に着目した同社の経営イノベーションについて紹介した。
「ポテトチップス」や「かっぱえびせん」、「じゃがりこ」などのヒット商品を次々と世の中に送り出してきたカルビーは、古くから商品の鮮度や品質の重要性を認識し、ビジネス改革に取り組んできた企業である。そのきっかけとなったのがポテトチップスでの苦い経験だ。1960年代末、かっぱえびせんでの成功を武器にカルビーはポテトチップス市場へ進出する。米国のポテトチップス市場は当時3000億円ほどの規模を実現していたので、日本でも市場拡大が大いに期待された。ところが、予想に反して売り上げがまったく伸びないという状況が続いていた。原因を探ると商品の一部に劣化が見られたのだった。「可能な限りできたての商品を消費者に」――この出来事を境にカルビーの意識が大きく変わったのである。
従来、スナック菓子商品には賞味期限の日付のみが記されていたが、カルビーは消費者により具体的な鮮度を把握してもらうため製造年月日も表示した。さらに太陽光などによる商品劣化を防ぐために、パッケージを透明な袋からアルミ蒸着フィルムの袋に変更したほか、中身の酸化を防ぐために袋に窒素を充填した。こうした取り組みは当時、同業者や小売店などからひんしゅくを買ったが、消費者の中で「商品が新しい→美味しいはず→買おう」というサイクルが築かれ、カルビーのスナック菓子商品は大きく売り上げを伸ばした。
じゃがいもの品質改良まで踏み込む
品質に対する同社のこだわりはこれだけでは終わらない。馬鈴薯(じゃがいも)を栽培する国内の農家と契約を結び、生産プロセス、さらには品質改良まで踏み込んで、原料の調達から、製品加工、販売までのプロセスを統合した。また、馬鈴薯の生産においては、農家や畑によって品質のばらつきが大きいため、ノウハウを共有化し、最も優れたものをパッケージとして契約するすべての生産者に提供している。「消費者に商品の鮮度を保証するためには、馬鈴薯の品質と価格を革新していくことが不可欠だった」と中田氏は語る。
カルビーにとって鮮度とはどのような意味合いを持つのか。中田氏は「鮮度こそ経営品質の総合評価の指標となる」と言い切る。商品が新鮮だということから、美味しい、身体に良い、売れている、良い仕事をしている、といったことが想起され、最終的には商品力、プロモーション効果、社員価値などの向上につながっていくという。「営業部門のミッションも商品の鮮度向上だ」と中田氏は述べる。
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