ITmedia エグゼクティブセミナーリポート
変革のエンジンとなるプロジェクトチームの作り方――シグマクシス、倉重会長(2/2 ページ)
プロジェクト価値を最大化するには
では、組織の力を高めるためのワークスタイルの変革の鍵は何なのか。倉重氏は「多様性」を上げる。
「日本はユニフォーミティ社会だったのです。みんなが同じユニフォームを着たような、一種の画一的な社会ですね。あうんの呼吸で効率的に仕事を進めていくにはもっとも適したやり方です。しかし、ここまでお話してきたように、もうマーケット・ニーズは多様化し、その変化のスピードも加速している。企業のビジネスモデルもそれに応じて多様化が迫られているし、そこで働く社員の価値観や考え方もさまざまです。みなと同じことをしていて価値を生みだすことはできない時代、いかに組織のイノベーション力を高めるかがポイントなのです。そこで必要なのは、多様性に対して寛容である姿勢です。異質なものを尊重し、それぞれの社員をプロフェッショナルとしてマネジメントする意識が企業には必要になってきます。」
もうひとつ、倉重氏は「ライフワークバランス」というキーワードをあげる。あえてライフを先にしているのは、生きるうえで優先するべきはライフだと考えているからだ。
「大小さまざまな労働組合の報告を見ると、企業で働く人のおよそ7割が、程度に関わらず心の健康をなんらかの形で崩していることが読みとれます。人間はモチベーションが高い状態でなければよいパフォーマンスは出せない。ワークスタイル変革にはライフワークバランスの考え方が浸透していることが前提となります。」
異質なものを認め、ライフワークバランスを尊重することを前提とした環境で、プロジェクトチームで仕事を進めていくことが、新しいワークスタイルの確立につながっていく。そこでは、ナレッジやノウハウの共有、そして作業のスピードアップを図るためにさまざまなIT基盤を活用することは言うまでもない。
なお、プロジェクト運営について、倉重氏は今後特に必要なってくるポイントについて次のように話す。
「これまであちらこちらで大小に関わらずプロジェクトが展開されていますが、これまで、その運営体制に"リーダー"はいても"オーナー"はいなかった。プロジェクトが失敗したり、進ちょくが遅滞しチームのモチベーションが下がってしまう原因には、『トレードオフを決定する人がいない』という現状があると考えます。変化の激しい環境の中で、プロジェクトを通じて価値を創り出すためには、その都度適切な判断を下すオーナーの存在が不可欠なのです。」
プロジェクトをとりまく状況変化に応じて、コストをとるか、進ちょくスピードをとるか、あるいは、クオリティをどうするか、といった判断はつねに求められる。プロジェクト・リーダーはこうした判断については会社の上層部組織に判断を仰ぐことが多く、それが迅速な進行を妨げる結果につながる。正しい判断は、プロジェクトが創り出す価値を最終的に享受する人、すなわちオーナーにしか出来ないからだ。
プロジェクト単位で組織が柔軟に対応し、高いパフォーマンスに結実させていくということはこれまでも続けられてきた。しかし新しいワークスタイルを取り入れることで、いままでにない価値創造ビジネスの形が出来上がりそうな予感がするのは、記者の錯覚ではないはずだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
富士通、新方式の量子コンピューター試作機を世界初開発 ダイヤモンドで計算精度を向上
-
2
「身代金は支払うべきか」――YKK APが7年越しに気付いた経営とセキュリティの視点のギャップ
-
3
戦略を実行する第2ステップ―組織の成功循環モデルを知り、リーダーシップを強化する
-
4
「複雑さにあらがう“設計者たち”」――マネーフォワードに学ぶBizOpsの実践構造
-
5
ポップなネオンを探す
-
6
AI画像認識で検査効率化、技能継承やロボ自律制御にも活用へ 東芝総合研究所の落合誠所長
-
7
セキュリティは「使えてなんぼ」 認証との偶然の出会いから22年 - NTTデータ 星野氏
-
8
ゴルフダイジェスト・オンライン 大日健COO
-
9
第53回:なぜ、日本企業では「考えるマネジャー」が育たないのか──AI時代、「言われたことは得意だが、課題抽出や提案は苦手」な組織から脱する方法
-
10
会計思考が組織を変える――全社員がBS、PLを理解した風船会計メソッドとは
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー