生き残れない経営
「節電でワーキングスタイルは変わる、この際新しい企業経営の構築を」その1(2/2 ページ)
ワーキングスタイル変革の肝
ところで、マルチワーキングスタイルを考える時に注意を要する点がいくつかある。
(1)日本的経営の特徴といわれる、集団責任に意識が行って個人責任が不明確、あうんの呼吸で事が運び指揮命令系統が曖昧、一方で根回しがまかり通り、出る杭は打たれる……ということが温存されていては、マルチワーキングスタイルを妨害する。節電も省エネルギーも、ましてや新しい企業経営の構築もかなわない。
部署ごと・個人ごとの業務分担・責任の明確化、ローカルな個人的つながりより組織優先、情報の共有化、曖昧模糊としたナアナア主義の排除など旧弊からの脱却は、企業がまさに存亡を賭けて、自己責任で個々に取組んで行くしかない。それは、経営者の責任そのものだ。
(2)しかし一方で、日本的経営の優れた点、即ち上下横の心の通い合いを促進するコミュニケーション、相手の心の痛みを理解する、互いに困っていることに手を差し伸べる、などがなければ、テレワークなどのマルチワーキングスタイルは当事者の疎外感や孤立感、あるいは業務の流れの断絶などいろいろな影響を受けて崩壊する。
日本的経営の優れた点を維持するのは経営者の責任だが、コンピュータ上の接触だけに頼らず、上下横と直接話し合う定期的機会を作ったり、食事会や飲み会を設けたり、その費用はある程度経費として認めるなど、具体的手を打たなければならない。それらは些事でバカバカしいことに聞こえるかもしれないが、従来の定型的ワーキングスタイルと違って、マルチワーキングスタイルを定着させるには絶対に欠かせない。
(3)人事勤務評価について、従来の定型的なワーキングスタイルでは定性評価や勤務時間に基づいた評価で大きな問題はなかった。しかし、ワーキングスタイルが多岐にわたるとアウトプットを評価したり、定量評価を導入したりしないと公正を欠くし、従業員のモラールにも影響するし、そもそも評価する側も難儀するはずだ。
(4)ITセキュリティは極めて重要になる。そのための社内教育や体制整備が必須だが、セキュリティ投資を決して惜しんではならない。
以上のテーマについて、労働に関わる日本の積年の問題を解決するという視点からアプローチすると、また別のアイディアが出てくる。次回検討する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
富士通、新方式の量子コンピューター試作機を世界初開発 ダイヤモンドで計算精度を向上
-
2
「複雑さにあらがう“設計者たち”」――マネーフォワードに学ぶBizOpsの実践構造
-
3
セキュリティは「使えてなんぼ」 認証との偶然の出会いから22年 - NTTデータ 星野氏
-
4
AI画像認識で検査効率化、技能継承やロボ自律制御にも活用へ 東芝総合研究所の落合誠所長
-
5
ポップなネオンを探す
-
6
鷹は、自らの爪・羽根・くちばしを折ることで、生まれ変わる
-
7
第53回:なぜ、日本企業では「考えるマネジャー」が育たないのか──AI時代、「言われたことは得意だが、課題抽出や提案は苦手」な組織から脱する方法
-
8
戦略を実行する第2ステップ―組織の成功循環モデルを知り、リーダーシップを強化する
-
9
生成AI搭載の人型ロボット「ヒナタ」梅田駅にお目見え、大阪メトロが接客案内の実証実験
-
10
会計思考が組織を変える――全社員がBS、PLを理解した風船会計メソッドとは
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー