気鋭の経営者に聞く、組織マネジメントの流儀
成長の原動力は会社の生き様をもっと「面白」くという発想(前編)(2/2 ページ)
人が人を管理するマネジメントはいらない。組織が継続的に成長するための環境作りをマネジメントととらえる。
中土井:柳澤さん、佐藤さんそれぞれのマネジメントという言葉の定義、意味を聞きたいのですが、どんな風にマネジメントをとらえていますか?
柳澤:正直なところ、マネジメントという響きはそんなに好きじゃないですね。「人が人を管理する」というイメージが湧いてしまうから。僕の中には、根本的に自由というテーマがあって、人は生きているだけで素晴らしいと思っています。
中土井:外からカヤックを見ると、社員が生き生き楽しく働くために、クリエーティブなマネジメントをしているように見えますが、カヤックの中ではそれはマネジメントではないのですね。
佐藤:目的に向かって集団が動くとなると、なんらかの形でチームにしていく作業が必要です。そうでないと、ただの烏合の衆になってしまいますから。継続的に成長するため、また、組織としてより俊敏に動くための仕組みをマネジメントと定義しています。仕組みを作ったりして、環境を整え、マネジメントされているという意識のないまま、勝手にマネジメントされている状態を作り出したいんです。
分かりやすくいうと、スポーツみたいなものです。チームスポーツは、いったんフィールドに入ったらコントロールできません。試合が始まるまでに、状況に適応していく能力を高めたり、戦略などの情報を共有します。マネジメントは、そういう試合が始まる前の状況を作っていくことで、インプレーになったらやることは基本的にはないと思います。
柳澤:そうですね。マネジメントという言葉が好きじゃなくても、環境を整えるという意味でとらえると、結局は僕もマネジメントは大事だと思っています。マネジメントなきマネジメントになるといいんですが……。
中土井:烏合の衆にならないための仕組み作りについて具体的に聞いていきます。フィールドに放たれたプレーヤーたちが生き生きワクワクして、最高のパフォーマンスが出せる状態を作るために、おふたりはどういう観点から物事を見て、仕組みに落とし込んでいるのでしょうか。
柳澤:それは、とても難しくて本質的な質問です。僕は、面白法人と名付けた以上、面白く働きたい、そのためには主体性こそが重要で、だれかにいわれたからやるのではなく、各自が勝手に主体性をもって動く組織、すなわち、時にそれはカオスで自由な組織なのではないかと思っています。つまりルールがない方が本当はいい、できるだけルールはシンプルにしたい。
しかし、混沌としていて、自由であるだけでは全くまとまらない。勝てない組織になってしまいます。戦略がなければ勝負には勝てない。戦略とはすなわち絞ることなので、何かに絞って戦うということが必要で、僕はひとつは、職種を絞ったらいいんじゃないかと思ったのです。
職種を絞ることが、共通の価値観の土壌になる。そうすることで評価制度も働き方もシンプルになる。カヤックは外国人社員も結構多いのですが、それはある意味ではダイバーシティがありますが、職種を絞ることで僕は逆に価値観の統一した集団になっていると考えています。どういうことかというとアイデンティティのトップに国籍がくるのではなく、エンジニアというものがくるということなのだと思います。だから外国籍であろうと日本国籍だろうと同じ価値観で戦える。
中土井:なるほど。仕組みは作るけど、ルールは極力シンプルにする。そのベースとして、価値観の共有があるんですね。なるほど。謎が解けた感じがします。
プロフィール
中土井 僚
オーセンティックワークス株式会社 代表取締役。
社団法人プレゼンシングインスティテュートコミュニティジャパン理事。書籍「U理論」の翻訳者であり、日本での第一人者でもある。「関係性から未来は生まれる」をテーマに、関係性危機を機会として集団内省を促し、組織の進化と事業転換を支援する事業を行っている。アンダーセンコンサルティング(現:アクセンチュア株式会社)他2社を通じてビジネスプロセスリエンジニアリング、組織変革、人材開発領域におけるコンサルティング事業に携わり2005年に独立。約10年に渡り3000時間以上のパーソナル・ライフ・コーチ、ワークショップリーダーとしての活動を行うと共に、一部上場企業を中心にU理論をベースにしたエグゼクティブ・コーチング、組織変革実績を持つ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
気鋭の経営者に聞く、組織マネジメントの流儀
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
第53回:なぜ、日本企業では「考えるマネジャー」が育たないのか──AI時代、「言われたことは得意だが、課題抽出や提案は苦手」な組織から脱する方法
-
2
新顔相次ぐ小型電動モビリティー 優れた環境性能、免許返納した高齢者の「次の足」に注目
-
3
2026年版「世界のストリートフード都市ランキング」発表、1位はホーチミン
-
4
「AIが勝手にやりました」は通らない トラブルの瞬間に試される責任の所在
-
5
第1回:社長になる人が、課長時代から共通してやっていること
-
6
「その100時間は、何も生み出していない」――認知科学者・堀田創氏が斬るリーダーの"見えない疲れ"
-
7
DX・AXプロジェクトの成功に必要な条件とは - コスモエネルギーHD ルゾンカ氏
-
8
AIが委託プロセスを正す! スノーピーク田中氏が示す開発共創プロセス
-
9
第52回:「管理」する時代は終わった──AI時代、マネジャーに残された本当の仕事とは?
-
10
画面の中だけで満足してない? AIが「現実世界(フィジカル)」を動かし始めた衝撃
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー