経営トップに聞く、顧客マネジメントの極意
顧客のニーズを満たすのは当事者意識から(1/2 ページ)
次世代のリーダーの育成と社会へのイノベーション創出を目指すNPO法人ETIC.は20代、30代の若い世代のチャレンジを促し、彼らの成長を支援する事業を行っている。自分の置かれている世界で、自らの目線で課題を発見することが社会を変えるイノベーションの原点だと語る事業統括ディレクターの山内幸治氏。当事者意識を持って仕事をすることの大切さについて話をうかがった。
これからの時代をつくる担い手となる人材を育成する
井上 ETIC.では、インターンシップや若者の地方企業などへの派遣を通して、社会問題の解決に取組んでいるそうですが、具体的にどのような活動をしているのですか。
山内 社会の課題、地域の課題に取り組む人材の育成や事業を支援することが団体の目的です。私たちの役割は、時代とともに変わっていく社会の問題に対応して、意欲ある若者とその現場をつなげていくことです。手法としては、大学生向けにインターンシップを実施したり、社会人を地方の企業とマッチングし派遣する事業などを行っています。
1997年にインターンシップ事業をスタートさせ、2001年には日本で初めてソーシャルベンチャーに特化したビジネスプランコンペを主催しました。震災後は、東北の中から立ち上がる力をサポートするため、民間のリーダーを支え、次の担い手になる人の育成に力を入れてきました。その他、社会実験プロジェクトとして、東北の仲間たちと一緒に、東北オープンアカデミー実行委員会をつくり、都市の人が地域と関わる入口づくりもしています。
井上 どういった経緯でETIC.で活動を始めたのですか。
山内 大学時代に海外に学生をインターンとして派遣したり、留学生をインターンとして受け入れる国際サークルに入っていました。そこで、インターンシップが若者に与える影響の大きさに触れ、日本でインターンシップという仕組みを広げようと団体を立ち上げました。そのころ、ちょうどETIC.でもインターンシップを事業化したいという話があり、一緒に活動するようになりました。ETIC.に合った経営者やベンチャー企業とのネットワークを生かし、インターンシップ事業を拡大してきました。半年以上にわたる長期間のインターンシップを中心に学生の派遣を行っています。
意欲と社会にとっての価値が結びつき、事業となる
井上 インターンシップとして派遣し、当事者意識を持って問題に取組んでもらうことはそう簡単なことではないのではないでしょうか。
山内 会社に雇われて働いている状態と、自分で事業を始めるのとは全く意識が違うように、インターンシップの現場でも、常に受け身なのか、当事者意識を持って動けているのかで、見えてくる世界は全く異なります。私たちにとって重要なのは、内発的な動機を持った担い手を育てることです。意欲があるだけではなく、自分自身を主語に動ける人材が社会から必要とされています。
インターンシップの最初の3カ月は慣れることで精いっぱいですが、半年が過ぎると、当事者意識のスイッチが入り、自ら動き出すインターン生をたくさん見てきました。そのスイッチが入った人は、言われたことをやるというスタイルから、自分で価値を生み出すモードになります。そのような状態になると、常に事業をする目的と向き合っていくことになります。あんな工夫もできる、こんなこともできるとアイデアが湧いてきて、仕事に終わりがなくなります。
井上 当事者意識を常に持ちながら取組めているかどうかということが、長く事業が続く条件なのかもしれませんね。
山内 事業とサービスが社会の中で続いていくためには、誰かの役に立っている必要があります。やりたいという気持ちは原動力にはなりますが、意欲と社会にとっての価値が結びついてこそ、事業として成り立ちます。そのためには、顧客のニーズに向き合いながら、事業を作り上げていくことが重要です。顧客のニーズに向き合い、根っこがしっかりしている事業は、遠くまでいけますが、どちらかが欠けていると、つまづくことが多いです。
自分たちの事業が社会に受け入れられるようにどんな意味を持っているのか、誰のどんなニーズ、困りごとに答えていけるのかということを問いながら、事業をサポートしています。
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