ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
経済学が教える、モチベーションを「見える化」する技術(2/2 ページ)
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
マネジャーが状況を見込んでGO/NOの目安をあらかじめ設定できる以上、当然だろう(例えば2日探して5万円以上安いところを探せなければリサーチを打ち切る等。ここでの労力の無駄の割り切りを、サンクコストと呼んだりする)。
責任感の強い部下が必要以上に自責に悩んでいる様子があれば、まずは即座に「気にしすぎないように」とフォローを入れるべきだ。ただ、そもそもに戻って考えると、マネジャーはどのように実際的な判断をすべきなのだろうか。
P/Lからは分からない「もったいなさ」をどう考えるか
じつはこの種の「もったいなさ」は、P/Lからはなかなか分からないものだ。例えば残業代の計上など人件費が費用化されていればある程度は把握できるが、サービス残業や年俸定額制といった場合は、追加コストゼロの労働力を幾ばくかのP/Lの改善のために惜しげもなく投入してしまうインセンティブをマネジャーに与えるかもしれない。
そのとき、部下の機会費用が時間あたりでどんどん低下していく(仕事の価値が落ちていく)とすれば、部下たちの士気は下がり、疲弊が溜まっていき、最悪の場合にはその部署は継続性が危うくなってしまうかもしれない。これでは決してよいマネジメントとはいえないだろう。
逆に、モチベーションを上げるには、その人の機会費用を高めていくことが有効だ。1時間あたり5000円の価値の仕事をしていた部下が、8000円の価値の仕事ができるようになったとすれば、誇らしくも思えて(昇給への期待等は別にしても)充実感に包まれるだろう。
褒めや報酬とは別次元の尺度で、充実感を高めるための環境設計をする
モチベーション維持には、褒めるといったコミュニケーションや、報酬のアップ(いわゆる「アメ」の部分)ももちろん大切だ。
さらに言えば、(好きな)仕事内容から得られる個人的な充実感はかけがえのない要素だろう(これは私が本を書く理由でもある。とても重要な要素ではあるが、個人特有の事情に依存しやすいこともあり、本稿では論旨が複雑になりすぎないよう敢えて触れていない。もしこちらに興味のある方は、拙著の最終章ほかいくつかの章が参考になると思う)。
高度に分業化された現代のマネジメントにおいては仕事環境の数量設計的なアプローチも非常に重要で、むしろ成熟した社会人たちにとっては、仕事で創出した価値の大きさ自体に満足するという動機づけが自然に行えるという意味で、スマートかつ本来的、普遍的なスタイルだと私は思う。
機会費用の概念は、マネジャーがそのような環境設計を実行するための大きな力になりうるもの。ぜひ、経済学的に理にかなった職場環境を実現し、チーム(職場、会社)に大いなる活力をもたらす存在として頼られ、また、部下たちが将来、スマートなマネジャーとして活躍するための良きロールモデルとなることを願っている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
子供の夢をYouTuberからホワイトハッカーに! 具現化を進めるCISO - GMO 牧田氏
-
2
復刊の真意は紙からデジタルに「とぶ!」 「あいまい検索」を生かしつつ大量の最新情報へ 話の肖像画 ぴあ創業者・社長 矢内廣<1>
-
3
AI固有の攻撃にどう備えるか ― セキュリティとガードレール
-
4
何を任せ、何を任せないか ― 対象選定という最初の論点
-
5
「昆虫サイボーグ」で災害現地の行方不明者ゼロに挑む
-
6
貨物の搬送車両で自動運転「レベル4」 福岡空港、国内3カ所目
-
7
10秒アクションをレベルアップしていく方法
-
8
なぜ答えが揺れ、堂々と間違えるのか ―― 確率で動く生成AIの正体
-
9
世界の先進技術で実現する「積練夢旅」 - Varonis 並木氏
-
10
「薬機法申請の添削AI」を現場が作った――ライオンが100人のAI開発者を育てて見えた「民主化」の分岐点
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー