ビジネスパーソンのための建設と建築
耐震偽装や手抜き工事の原因は? 理解しておきたい「建設の問題」(2/2 ページ)
また、杭打ちした人がデータを改ざんしようとしても、その場に別の人がいれば不正を防げたかもしれません。そのため、この問題をきっかけに、杭打ち時に元請け業者が立会い、支持層に到達したことを現場担当者と一緒に確認することが国土交通省の施工指針として告示されました。
残念ながら、ここで取り上げた設計・施工の問題はあらゆる建物で起こりうるものです。横浜のマンションは手すりのズレという目に見える異常があったため改ざんが発覚しましたが、異常が見られなければ見過ごされていたかもしれません。普通に売られている建物や、普通に人が普通に住んでいる物件の中にも、問題が表面化していないだけの物件があるかもしれないのです。
何か起きた時の影響が大きい
例に挙げた2つのケースからも分かるとおり、建設・建築の問題には「大きい」という特徴があります。問題となる建物にそれなりの大きさがありますし、建てるためや、建てた後の補償などで動くお金も大金です。造り手が担う責任も、マンションなどの住人に与える影響も大きく、結果として社会に与える影響や話題性も大きくなります。
では、これからマンションなどを買う予定の人が、大きなトラブルに巻き込まれなようにするにはどうすれば良いのでしょうか。
まずは売主(デベロッパー)の規模を見ておきましょう。横浜のマンションの問題では、デベロッパーが建物の建替費用、その間の住民の転居・仮住まい費用、慰謝料を負担することが決まりました。大手でなければこのような対応は難しく、万一の時の補償という点で、売主(デベロッパー)が大きい方が安心感があります。
施工会社についても、基本的には大手の方が技術力が高く、現場工事でも自社の品質管理チェックリストなどを作ってます。つまり、手間、時間、人員、コストをかけて工事しているため、その点でも安心感があるといえるでしょう。
もちろん、大手の物件だから安心とはいえません。あくまでの何か問題が起きてしまった時に必要な補償が受けられる可能性が高いということです。
日々の暮らしやすさや安全性に目を向けることも大切です。例えばマンションの場合、コンクリート壁の厚みが18cm以上あれば隣の部屋の音が聞こえづらくなります。子供の飛び跳ねや、ものを落とした時の音については、LH55以上、LL50以上が理想とされています。細かな知識がなかったとしても、このようなポイントを押さえておけば、騒音トラブルは未然に防げるでしょう。
安全性については、大きな地震が起きた時に玄関が歪み、脱出できなくなるリスクがあります。窓から逃げられない高層の物件を買う場合などは、耐震枠という強度がある枠を使っているかどうかも確認しておきましょう。
また、入居する前には物件の引き渡し前検査というものがあります。壁、床、設備などに不備やキズなどがないか購入者が自分の目でチェックするものです。どの程度細かく見るかは人によりますが、私が知っている中では5時間かけて入念にチェックした人がいました。
そこまで見る必要はないかもしれませんが、重要なのは納得するまで見ること、そして気になる点があれば遠慮なく伝えることです。その時は「小さなこと」と感じたとしても、建物の問題は何かあった時の影響が「大きい」ということを念頭に置いて、満足できる物件を見つけてほしいと思います。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ビジネスパーソンのための建設と建築
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
ドコモFG、今秋までに金融AI試験版を開始 投資運用を助言し、若年層取り込み狙う
-
2
第50回:なぜ「優秀なマネジャー」ほど経営に嫌われるのか
-
3
なぜコーポレートITはコスト削減率が低いのか――既存産業を再定義することでDXを推進
-
4
ITmedia エグゼクティブ勉強会スケジュール
-
5
「セキュリティは事業を活かす出汁、責任者はCIMOで目指せ」 - JTB 椎野氏
-
6
味の素社が挑む“dX”とAI駆動開発――“企画・開発・営業ができる人財”が新規事業を加速する
-
7
「CISOは1人の経営者たれ」――ログの先の人を思う、LayerX CISO 星氏
-
8
「人間洗濯機」が高齢者施設に 福祉の現場に万博技術導入 人手不足解消や産業成長に期待
-
9
スキルの向上だけでは成長は望めない――より重要になる「成長マインドセット」とは
-
10
「レッドガス」時代の羅針盤【第三章】従来型グローバルサプライチェーン設計思想からの脱却
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー