視点
生産性向上に向けたデジタルの活用方法(4/4 ページ)
しかし、日々忙しいコンサルティングワークに埋没している中ではなかなかそのような時間を取ることは難しい。そのため、(2)のロスの低減における取り組みによって、一部業務の徹底した業務標準化により、刺激と触れ合う時間を生み出そうとしている。こういった業務改革によりリソースを捻出し、刺激と触れ合う時間を業務にはめ込むことが重要である。
STEP4: 恒常的に価値を生み出す組織へと変革する
STEP1~3の取り組みは、付加価値を高めるには有効である一方、業務に定着しなくては一過性のものとして形骸化する恐れがある。そのため、業務に定着させるための最も有効な手段は、組織から組み換えることである。もちろん、組織を変えることは簡単にはいかない。ハードルだらけである。一方で、日本が諸外国に比べ生産性が低い主たる要因の1つは組織の持ち方にもある。
多くの企業がこれまで、新規事業を行う際に新たに組織を作り、うまくいけばリソースを増やし、主要組織として定着させてきた。決して間違いではないが、その結果、組織の数は増えるものの組織間のコミュニケーションは薄れ、いつの間にかホワイトスペースめがけて複数の部門で同じようなことを検討するようになってしまっている。こういった現象は製品単位・事業単位で組織を持っている企業に多い。
デジタルのメリットを享受するための最大のポイントは“規模”である。全社レベルで標準化できる部分はできるだけ1つにまとめてデジタル化し、価値を恒常的に生み出す組織の軸を定義することが重要となる。
3、自社の診断に基づくデジタル化を
ここまで、業務生産性を高めるためのポイントを述べてきたが、全ての課題を一気に改善していくことは企業内リソースの観点からも難しい。また、企業ごとにビジネスモデルやそれを生み出すバリューチェーンプロセスが違う中では、他社の取り組み成功事例をそのまま移植しても機能しない。
例えば、自社のビジネスモデル・収益構造を振り返った時に、業務のバラつきによるロスが多く、かつ定型業務が多い場合には、徹底的に業務標準化・自動化によりロスの低減を図ることが望ましい。他方、業務のバラつきがあるものの非定型業務が多い場合には標準化は難しい。その場合は従業員の能力を底上げすべく、適応スピードの改善の取り組みに着手した方が良い。
同様に、クリエイティビティが求められる部門においては、業務のバラつきをなくすよりも付加価値を高める取り組みに着手した方が良い。その際に、組織の流動性(組み換えやすさ)も考慮しながら前述の付加価値を高める4つのステップに実践していただきたい(下図D参照)。
日本企業にとって生産性を高める取り組みはもはや必然となっている。デジタル化する社会と向き合い、うまく取り込んでいくためにも、自社にとってどの部分での生産性を高める必要性があるか、そしてどのレベルで高めることが可能かをまずは診断することが先決である。
Copyright (c) Roland Berger. All rights reserved.
視点
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
フジテレビが「アドレッサブル広告」開発 商用化に向け技術実証加速
-
2
部下への過剰配慮は「ホワハラ」 早期離職につながる懸念も 「健全な負荷」が成長機会に
-
3
第1回:到来した「自律型AI時代」
-
4
新幹線にスマホ10台! 説明前にまず自分で確かめる - Zimperium 成田氏
-
5
「社長、これだけは覚えておいて」――NTTグループ250人のトップが学んだ、有事の際の4つの定石
-
6
DX・AXプロジェクトの成功に必要な条件とは - コスモエネルギーHD ルゾンカ氏
-
7
コミュニティ活動を通して人材育成を進め、サイバーの世界でも安全を追求するANAの取り組み
-
8
誰もあなたを育ててくれない時代 ――成長を諦めないリーダーが実践する5つの自己点検
-
9
オタクの名人芸に驚く
-
10
情シスから営業へ、異色のキャリアが生んだ「売り込まない」アドバイザー営業 - HENNGE 谷元氏
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー