ITmedia エグゼクティブ勉強会リポート
誰もがドローンを高度に運用できる未来――「ソサイエティ5.0」を目指すアイ・ロボティクス(2/2 ページ)
最後に操縦技術では、ドローンは簡単に飛ばせるものの、航空の知識を有する人材の育成には非常に時間とコストがかかる。小関氏は、「飛行機のルール、ヘリコプターのルール、気象の知識など、航空関連の知識を持っているか否かが、プロパイロットとしての一つの分岐点だが、そもそもそのような人材に頼らざるを得ないこと自体が課題」と話している。
山岳捜索におけるドローン活用の現状
現在、アイ・ロボティクスでは、山岳捜索にドローンを活用している。小関氏は、「山岳遭難者数は、年間で3000人程度になる。その内、警察による捜索では見つからない、死者、行方不明は、300人程度である。従来この300人は、遭難対策協議会や、日本山岳救助機構などがボランティアに近い形で捜索していた。山岳捜索は、その市場規模から産業界に大きな影響を与えるものではないが、ドローンだからこそできる社会貢献の一環として重要な取り組み」と語る。
「あるテレビ番組でも紹介されたが、ヘリコプターで見つからなかった遭難者を、ドローンで見つけることができた。使った機材は、最も一般的なものである。理由は、高性能で低価格だからである。山岳捜索では、ドローンが墜落したときに回収できないこともある。そこで低価格な機材を利用している」(小関氏)
ドローンを利用するメリットは、まず上空80メートルからでも川で泳いでいる魚を確認できることがある。また、人が山を分け入って1日掛かりで到達するところに、ドローンであれば10分で行ける。その一方で、山岳捜索にも課題はある。例えば、操縦可能なスペースを確保することが必要。関係各所と事前に調整をし、国有林などの通行許可も必要になる。
また、操縦のために木に覆われていない開けた場所を探すことが必要。送電線もドローンには不利になるが、ヘリコプターはもっと危険なので、送電線の近くこそドローンの利用が有効になる。さらに、携帯電波が届かないという通信の制約とか、電源環境が確保できないどか制約もある。
「その他にも飛行の制約として、ドローンの飛行位置をリアルタイムに確認できない場合、高度なカメラ知識や測量知識が必要。製品によっては距離4キロ、高度500メートルの範囲に限定されるなどの課題もある。季節や時間帯もかなり限定され、夏は木ややぶが茂り地面がほぼ見えなくなるなど、さまざまな課題がある」(小関氏)
ドローン利活用のためのプロセス
ドローンをビジネスに導入するための基本ステップを小関氏は、次のように語る。「無人機市場の今を知る“調査インテリジェンス”、社内で啓もう活動をする“教育エンライトニング”、課題と解決方法を検討する“検討ソリューション”、実現手段を検討する“導入プラットフォーム”の大きく4つとなる」
このとき、調査インテリジェンスでは「前例が少なく先行者になるリスク」が、教員エンライトニングでは「人材育成におけるリスク」が、検討ソリューションでは「社内規定や品質保証のリスク」が、導入プラットフォームでは「ホールプロダクトが存在しないリスク」があることを理解しておくことも必要になる。
小関氏は、「近年のIT活用による産業構造変化では、音楽業界で配信方法がCDからネット配信へと、ニュースは紙媒体からネット配信になり、現在はアプリによる配信へと変化している。既存の産業はいったん解体され、必要なものだけを再統合し、サービスとして大衆化するプロセスをたどる。ドローンも同じで、どの分野でどのように有効になるかを、しっかりと見極めなければならない」と話している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ITmedia エグゼクティブ勉強会リポート
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
第50回:なぜ「優秀なマネジャー」ほど経営に嫌われるのか
-
2
ITmedia エグゼクティブ勉強会スケジュール
-
3
「CISOは1人の経営者たれ」――ログの先の人を思う、LayerX CISO 星氏
-
4
「セキュリティは事業を活かす出汁、責任者はCIMOで目指せ」 - JTB 椎野氏
-
5
味の素社が挑む“dX”とAI駆動開発――“企画・開発・営業ができる人財”が新規事業を加速する
-
6
「人間洗濯機」が高齢者施設に 福祉の現場に万博技術導入 人手不足解消や産業成長に期待
-
7
スキルの向上だけでは成長は望めない――より重要になる「成長マインドセット」とは
-
8
重要文化財の弁財天像 3Dデータ化で確実に継承へ 「将来に残したい」神奈川・江島神社
-
9
「レッドガス」時代の羅針盤【第三章】従来型グローバルサプライチェーン設計思想からの脱却
-
10
「その100時間は、何も生み出していない」――認知科学者・堀田創氏が斬るリーダーの"見えない疲れ"
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー