プレゼン資料や企画書を準備する上で良いアイデアが浮かばないという経験は誰しもあるはず。こんなときは、いくら机の上で頭をかかえても、解決策は見つかりません。なぜなら、机上に答えはないからです。
「あの人は発想力がすごい。どうやったらあんな作戦を思いつくのでしょうか。彼は頭の中に、いろんなアイデアを次々と生み出せる打ち出の小槌を持っているのです」。皆さんの周りにもこうした人がいませんか。プレゼンの核心は、顧客の願いを叶える提案ができるかどうか。相手がハッとするような斬新なアイデアを繰り出せるプロフェッショナルが一人いれば、勝利の確率はグッと上がります。
しかし、どんなに発想が豊かな人でも、なかなか答えが出ないプレゼンもあります。顧客のニーズを把握し課題も整理できた。でも、肝心の解決策が見つからない。そんなとき、あなたならどうしますか?
いくら机上でマーケティングデータを見つめていても、資料をひっくり返して考えてみても、会議室でブレストを重ねても、なかなかよいアイデアが浮かんでこない。プレゼンの経験豊富な方なら誰でも思い当たるはずです。わたしは毎回この繰り返しなのですが(笑)、こんなときは開き直ってこうします。
考えてもダメなら、考えることをあきらめる
そんな無責任な、とお叱りを受けるかもしれません。でも、いくら考えてもアイデアが浮かばないときというのは、多くの場合、会議室や机上で無理矢理生み出そう、作り出そうとしています。PCに向かって集中し、パワーポイントの画面をにらみ続けても、出ないものは出ないのです。こんなときは、考えるのをやめて、アイデアの源泉である現場に出掛けてみるのをオススメします。本当に大事なことは、時として机上で考えていても見つかりません。解決策は考えるものではなく、見つけるものだったりするのです。
わたしのつたない経験から紹介させていただきましょう。R電気商会という商社から新卒学生を採用するための求人広告の提案を依頼された時のことです。同社は名古屋市に本社がある、電気関連資材の商社。業績が順調で新卒採用にも積極的だということでした。取り扱っている商品は、空調や通信機器といった大型設備機器から、電線やプラグ、コネクターや電球などの細々とした部品まで実に多種多彩です。
こう書くと聞こえはよいのですが、取扱商品はビルや工場の中に敷設されるものばかりで、家電量販店に並ぶような電化製品とはまったく違うため、学生への知名度はありませんでした。しかも典型的な中小企業で、本社は通勤に不便な名古屋市のはずれにあります。不利な条件がそろっています。
大手メーカーの系列ではないため、社名も認知されにくく、個人企業っぽい印象を与えています。さらに給料が格段に高いわけでもなく、休みが特別多いこともない。要するに、コレといったPR材料が見当たらないわけです。正直、求人広告を制作するにはやりにくい相手でした。
何とか糸口を見つけようと、社長に時間をいただき取材しました。社長の話では、ここ数年間、順調に売り上げが伸びて会社が成長していること、エレクトロニクス関連の需要が堅調で将来性もあるということでした。でも成長の理由を突っ込んで聞いてみると、どうもはっきりしないのです。結局、わたしの「?」は「???」に増えてしまいました。
その後情報を整理し、営業ともブレストを重ねながら制作に入ったものの、妙案が浮かぶことなく、案の定、暗礁に乗り上げてしまいました。いくら考えても、よい解決策が思いつかないのです。広告の提案期限は容赦なく近づいてきます。そこでわたしは、いつものように、考えるのをやめて次の作戦に出ました。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授