ヘッドハンターの視点
「ヘッドハントされた」が自慢になるという勘違い(1/2 ページ)
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今回はヘッドハンティングビジネスについて少し触れてみたいと思います。
あまり知られていないようですが、契約型エージェント(IT系エグゼクティブの仕事事情を参照)にはオフリミットというルールが存在します。
時々、地下鉄の駅などで「Off Limit(立ち入り禁止)」と言う看板を目にすることがありますが、ヘッドハンティング業界でのオフリミットとはクライアント企業からは一定期間引き抜きをしないという意味です。
採用のお手伝いをするということは、クライアント企業のさまざまな内情を知ることにもなります。そういった環境にいてクライアント企業から引き抜きをするというのは、にこやかに右手で握手しながら左手でボディブローを入れているようなものです。
以前は1ポジションの契約でクライアント企業の全社員をオフリミットにするという時代もありましたが、最近では、採用依頼をされたポジションの部署(営業本部長なら営業本部全体)をオフリミットとするケースが多いようです。また、若干複雑な思いはありますが、クライアント(探すポジションの上司にあたる人)からご自身の将来の可能性を考えて「僕(わたし)はオフリミットにしなくていいからね」というリクエストを受けることも実は珍しくありません。
オフリミット期間内にクライアント企業の社員から転職相談をされた場合、契約エージェントは相談に乗ることはできますが、(なんらかの事情により会社と本人が転職を合意している場合を除き)具体的に転職先を紹介することはできません。売り手市場の時代にはこのオフリミットルールを逆手に利用し、企業が優秀な人材を引き抜かれないための防衛策として複数のメジャーなヘッドハンターと契約することさえありました。
採用にかかわった人(プレースメント)に対するオフリミットはもっと厳格で半永久的です。契約型エージェントは、買収などの特殊事情を除いてはプレースメントを再度引き抜くことはしません。プレースメントがクライアント企業で活躍できるように見守るのもヘッドハンターの大事な役目なのです。プレースメントが活躍することはヘッドハンターの大きな喜びであると同時に、クライアント企業との信頼関係も深まり、リピートビジネスにもつながります。また、ありがたいことに他の企業に紹介もしてくれます。多くのビジネスがそうであるように、クライアントの口コミほど強力な営業手法はありません。
ただ、残念ながら、プレースメントの活躍に関心のないヘッドハンターがいます。
転職相談にいらした40代半ばのAさんは8社目の会社に勤めていました。特にこの10年程は2年前後で転職を繰り返していました。転職の理由をお聞きするとAさんは「転職して2年くらい経つとヘッドハンターのBさんがいつも声をかけてきてくれて、『そろそろ飽きたでしょ。Aさんのためにいいポジション探してきましたよ』と僕をヘッドハントするんです」と自慢げに話してくれました。
この時点でわたしがAさんをクライアントに紹介する可能性は1%を切ります。
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