欲求が満たされない社員は逃げていく:問われるコーチング力(2/2 ページ)
「3年で3割」――新入社員の定着率の低さは、企業にとって大きな悩みの種である。人材の流出を防ぐためには、どういった点に注意すべきだろうか。その鍵は人間の「欲」にあるという。
マズローの欲求段階
答えは、「人間の基本的欲求」満たしてあげることである。「人間の基本的欲求」とは、マズローが提唱している欲求5段階(下図参照)のことだ。「自己実現」は基本的欲求(生理的欲求、安全と安定、所属、承認)が満たされて初めて達成される。夢や希望を抱いて入社する新入社員の中には、すぐに「自己実現」ができると思っている人がいるのではないだろうか。
しかし、仕事というものは、入社してすぐの新入社員が思い通りに仕事ができるほど、簡単ではない。スキルや経験などの不足から、仕事ができないと感じることの方が普通である。
すると、新入社員は会社や自分の所属する部署に対して貢献できていないと感じる。具体的には、「人間の基本的欲求」の「所属」と「承認」が満たされない状況に陥ってしまう。欲求が満たされない状況はとても不安であるため、自分が思い描く仕事の成果が出せない原因を自分以外に求めることになる。
結果、会社や上司に対する不満が募っていく。この不満な状況に我慢できなくなると、退職してしまう。やや短絡的かもしれないが、おおまかに言えばこのようなことでないかと思う。
人間が「自己実現」の状態に到達するには、基本的欲求(生理的欲求、安全と安定、所属、承認)が満たされて初めて達成されるということを、管理職は肝に銘じておいてほしい。
次回は管理職として、部下の日々のマネジメントに生かす具体的な方法をお伝えしたいと思う。
プロフィール
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。
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