挑戦するリーダーのためのビジネスモデル、9つの要素:海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(3/3 ページ)
ビジネスモデルは9つの相互に関係する要素に焦点を当て、企業の「顧客、提供品、インフラ、財政的実行可能性」を網羅するものでなければならない。
9つの構成要素
ビジネスモデルの重要な要素は、企業がどのように事業を行っていくか説明する「共通概念」を生み出します。次の9つの構成要素は、相互に関係するイノベーション計画を立てると同時に、企業の「顧客、提供品、インフラ、財政的実行可能性」を網羅しています。
ビジネスモデルに重要な9つの構成要素について
1、客層
ビジネスモデルの核である客層の中で、1つ以上の顧客のタイプをターゲットに絞ってください。「マス」マーケットや「ニッチ」マーケットは全く異なるアプローチを取る必要がありますが、「グループ分け」された顧客ベースは共通項を持っており、彼らのニーズはそれほど変わりません。「多面的プラットフォーム」を持つ企業は、2つ以上のグループに対し売り込みを行っています。例えば、クレジットカード会社は、クレジットカードを扱う企業と、それを使う口座保有者の両方を開拓します。
2、価値命題
価値命題は「利益をもたらす塊」であり、顧客に競合他社ではなく自分の企業とビジネスをしたいと思ってもらえる要素です。新しいものに投資をしたり、製品の性能を向上させたり、製品を特定のニーズに合わせて調節したりして価値を生み出してください。
3、チャネル
「顧客と接する」最適のポイントを選び、企業の価値を伝え、製品やサービスの配布、売り込みを行ってください。インターネット販売、店舗の立地、卸売り販売業者などは、企業が売り込むものを顧客が経験し、評価し、購入することのできるチャネルの典型例です。
4、顧客関係
異なる顧客層には異なる対応方法を確立してください。サービス担当者による「個人対応サービス」は、無人サービスやセルフサービスと共存することができます。また、アマゾン社は顧客からの製品レビューを載せることで、ユーザー全員のための価値を顧客と一緒に生み出しました。
5、収益の流れ
これはビジネスモデルの「動脈」です。収益はこの動脈を通って個別の売上あるいは賃貸やライセンスあるいは会費などの継続的支払いからもたらされます。収益源の種類が異なれば、「固定価格」あるいは「動的価格」、つまり交渉による価格など、異なる価格設定の仕組みが必要になります。例えば、「外からの影響を受けやすい」ホテルの部屋はシーズンや空室状況によってさまざまな価格で提供されています。
6、主要リソース
リソースは最も重要な資産であり、どのような事業を行っているかによってその形は(物的資産、金融資産、知的財産、人材など)さまざまです。例えば、経営管理の才能や知的所有権、施設や信用枠などがあり、自己所有されている場合とリースされている場合があります。
7、主要活動
企業は顧客を引きこみ利益を上げる重要な活動を定期的に行います。例えば、製造業者は製品を生み出し、コンサルタント会社は問題を解決し、イーベイやビザなどの企業は、さまざまなグループをつなぐ「プラットフォーム/ネットワーク活動」を管理しています。
8、主要なパートナーシップ
他の企業と手を組むことで、競争が激化している業界で自社のマーケットシェアを拡大あるいは保持することができます。サプライヤーとの相互関係、ジョイントベンチャー、戦略的アライアンスなどを考慮してください。ライバル社との戦略的パートナーシップあるいは「コーペティション12」は、リスクの軽減や節約を可能にします。また、企業は、外部委託や下請け契約を行うことで、コストを削減し、重要なリソースを入手する事も出来ます。
9、コスト構成
企業が「コスト主導」であるか「価値主導」であるか(例えば、格安航空チケットなどの低価格サービスを提供しているか、あるいは、最高級ホテルのように特別な価値を生み出しているか)によって、ビジネスモデルのコスト構成は決まります。支出には固定費および変動費があります。大手企業は大規模生産および販売から、規模の生産性と範囲の生産性を高めることができます。
この9つがビジネスモデルを構築する要素ということであれば、逆にいえば、企業内に9つそれぞれの要素を専門的に実現できるセクションを設け、それをモデル毎に組み合わせや、運営の流れを変えることによってあらゆるビジネスモデルに対応ができるということなのでしょうか。
この本の詳細
アレキサンダー・オスターワルダーは、ビジネスモデル・イノベーションに関する著者、講演者そしてアドバイザーです。イブ・ピグナーは、スイスのローザンヌ大学経営情報システムの教授です。
- ページ数 288ページ
- 出版社および発売日 Wiley(2010年7月初版)
- 言語 英語
- amazonへのリンクはこちらです。
プロフィール:鬼塚俊宏ストラテジィエレメント社長
経営コンサルタント(ビジネスモデルコンサルタント・セールスコピーライター)。経営コンサルタントとして、上場企業から個人プロフェッショナルまで、420社以上(1400案件以上)の企業経営を支援。特に集客モデルの構築とビジネスモデルプロデュースを得意とする。またセールスコピーライターという肩書も持ち、そのライティングスキルを生かしたマーケティング施策は、多くの企業を「高収益企業」へと変貌させてきた。
Copyright© 2014 エグゼクティブブックサマリー All Rights Reserved.
関連記事
- 成功するための、新しい人脈構築活用術
- 優れたアイディアを攻撃から守る方法
- ソーシャルメディアで組織を変革する方法
- 分岐点を迎えた経営教育、MBAを考える
- シンプルに結果を出すためのエグゼクティブ・コーチング
- 女性が指導的立場につくことを妨害している、大きな要因とは?
- 契約を成立させる戦略
- 企業を飛躍させる学び方
- 高級ブランドのオンライン戦略とは?
- 優秀な女性はなぜ、さまよってしまうのか?
- サービスシフト
- 面接でするべき101の効果的な質問
- クライシス・コミュニケーション
- チームプレーヤーが持つべき17の特別なもの
- チープ
- 未来を創るリーダーが持つべき10のスキル
- 時代の流れで変わるリーダーの本質
- バイラルループ――FacebookからTwitterまで、優れた企業は今どう成長しているのか
- 構え、撃て、狙え!
- 従業員のモチベーションを上げる100の方法