資格を取るなら目的を明確にせよ:ビジネスマンの悩み相談室(2/2 ページ)
新年の1月から年度始まりの4月までは、雑誌やテレビなどあちらこちらで資格や語学学校などの宣伝を目にする。しかし、何のためにやるのか、資格をどのように生かすのか、それが明確でないと結局長続きせず中途半端になる。
できる人の法則
わたしはできる人には共通するものがあると最近考えている。次の3つである。
1、無駄をやめる
前回話ししたが、できる人は無駄なことをやめている。時間は有限なので、自分にとって何が大切かを考え、無駄なものを明確にし、いっさい行わない。
2、磨きをかける
一方で「磨きをかける」ことを大切にしている。これまでの自分をふりかえって、成功したこと、成果が出たことは何だろうか、逆に失敗したこと、成果が出なかったことは何だろうか。それらを書き出し、成功したこと、成果が出たことに集中し、それを磨いているのである。自分の強みを徹底的に磨いているのである。
ただし、継続的に成功しているとそれがあだとなり、失敗することもある。失敗したらさらに磨きをかければいい。自分の強みにとことんこだわり集中する。できる人はそれを行っている。
3、有意義な人との時間をつくる
できる人は自分自身を磨くだけでなく、有意義な人との時間をつくることを大切にしている。尊敬できる、この人のもとで働きたい、と思う人がいたら、積極的に声をかけ話を聞く機会をつくっている。有意義な人との時間によってさまざまな考え方を知り、自分だけで磨きをかけるよりもはるかに大きなものを得られることを知っているのである。
できる人はしかもこれらを実行する目的が明確である。「○○の分野なら自分といわれるような存在になりたい」「部署に○○に強い人がおらず外部の力を借りていることも多いので、○○の分野を勉強する」それが明確なので、ぶれることがなく上記の3つのことを愚直に追及していけるのである。
逆にできない人は、目的が明確でないため、何をやめたらいいのか、何を磨いたらいいのかが分からない。また、自分にとって有意義な人がどんな人かが分からず、逆に無駄な会合に付き合わされたりする。
なお、私事ながら、わたしのビジネスコーチを普及することを仕事にしている。その目的は、ビジネスコーチングが人との組織の成長に不可欠であり、それに大きく寄与できるからである。組織力を使って、組織に磨きをかけていきたいと思っている。
出口をみがく
目的とは言い換えれば「出口」とも言える。出口が何かを考え、それを磨く。ひとつだけ気を付けてほしいことがある。それは、出口はシンプルなことが大切である。人が5分聞いて分からないものはやってはいけない。また、5分で説明できないものはやってはいけない。
人に5分で説明できるように出口も磨かなければいけない。先ほどのSさんに対して、B課長は次のように説いてみよう。「英語の勉強した出口に何があるの? 経済の資格を取ってその先に何があるの?」
上司が問うてあげよう。本人も自分に問い続けながら、自分にとって何が目的かを考える。上司としてもこんなことを期待しているということを話してもいいだろう。勉強することは決して悪くないが、磨きをかけること、磨きをかけた先に何があるのか、徹底的に議論してほしい。
目的を明確にするのは簡単そうでやはりむずかしい。問い続けることでしか明確にはならない。近道はないが、その視点を持つことでやるべきこと、やめるべきことがはっきりし、できる人になるはずだと信じている。
著者プロフィール
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。「ビジネスマンの悩み相談室」は電子書籍でも配信中。「自分は頑張っていると主張する部下に悩む上司」「ぬるい部下に悩む上司」「若い人には横から目線で共感する」(各250円)
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