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負けない仕事術のススメビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

いつもと違う、なんか変だと感じたときは、背後に大きな問題につながる何かが起きている。問題を想像し、計算し、対策を取る。問題は小さいうちは対処できるが、大きくなると対処できなくなるからだ。

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今、はやっているものを選ぶな

 リスクを潰しているだけじゃ、失敗はしないかもしれないけど肝心のチャンスを捕まえることができない。リスクに目配りし、対策して、心を平静に保ち次にアップサイドのチャンスをどうつかむかが大切な事は言うまでもない。普通は流行を追いかける。いまならグローバリゼーション、SNS……。しかし、流行を追いかけるのは、アップサイドの利益につながらないのが、通常。理由はおおまかに2つ。

 競争相手も殺到するので防戦の投資がかかり、意外に儲からないからだ。高成長市場より、中成長市場の方がうまみがあるのは、経営学の大事な教えでもある。もう一つは、流行=思考停止という罠の存在にある。他人がやっているからうちも、という発想では、頭が空回りするから、顧客を見てしっかり物を考えることをしなくなる。従って、「流行に逆らえ! ベストセラーを読むな! テレビを見るな! ウェッブの人気サイトを見るな!」という行動につながる。

 コンサルタントは、いつでもはやりの経営書、ビジネス書などに目を通していると思ったら大間違い。わたしは、できるだけ、それらを遠ざけようと努力した。よく出来た本であればあるほどに、自分の頭が乗っ取られるからだ。自らでは何も産み出せない「ビジネス書評論家」になってはいけない。

風に流されて生きてみないか?

 それでは、アップサイドの成長のチャンスをどうつかむのか? 自分が興味を惹かれる分野のことを考えて、頭の中に入れておく。あとは、無理な努力をしない。風の向くまま、気の向くままに取り組むのも手である。時が満ちていないときにあくせくしてもしょうがない。自分の前になぜか、まったくチャンスが降ってこない不遇の時もある。そんな時に無茶してじたばたしながら無理やり前に進もうとしてもうまくいかない。それよりは、風に任せるのが大事だ。

 全ての状況が、チャンスのために準備OKになれば、自然にチャンスは訪れる。自分が目指す道が、自然にひらけてくるものだ。流れに乗るのが大切。わたしも必死でコンサルタントとして生き残ってパートナーに昇進したある日、ようやく数万人、数十万人を幸せにできる仕事に辿りつけた。志を抱いてから十年以上経ってっていた。自然に風が吹いてきたのだ。

 流れに乗るまでの道筋は計算できない。いつ来るか分からない。一発逆転でチャンスを待ってもこないかもしれない。チャンスをものにしなければ勝てないのも事実だ。しかし、それが予見不能。だからこそ、普段は、失敗しないように身を屈めてリスクをつぶしながら生きる。そして、チャンスが来たらその風に乗る。それが、負けない生き方のコツだ。

 もちろん、風を待つ間に、水面下で努力に勤しむのは成功の必要条件。「現状維持は死に至る病」だから。

 とにかく、短期的なスキル主義が蔓延するわが国のビジネス・パーソンに、そうではない、「死なない仕事術」を身に付けてもらい、心に秘める大志を実現してほしい。年代を問わず、是非、一度、本書を紐解いてほしい。

著者プロフィール:山本 真司

1958年、東京生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業、株式会社東京銀行入行、シカゴ大学経営大学院にて修士号(MBA with honors、全米成績優秀者協会会員)取得。1990年、ボストン・コンサルティング・グループ東京事務所入社。A.T.カーニー東京事務所マネージング・ディレクター・極東アジア共同代表、ベイン・アンド・カンパニー東京事務所代表パートナーなどを歴任。20年以上の経営戦略コンサルティング経験。2005年、英国『ユーロマネー』誌より、「世界のトップ金融コンサルタント」に日本人として唯一選出される。現在、株式会社山本真司事務所代表取締役、立命館大学経営大学院客員教授(戦略コンサルティング論)、静岡県サッカー協会評議員、慶應義塾大学院非常勤講師。著書に、『40歳からの仕事術』(新潮社)、『30歳からの成長戦略』(PHP研究所)、『20代 仕事筋の鍛え方』(ダイヤモンド社)『会社を変える戦略』(講談社)、『35歳からの「脱・頑張り」の仕事術』などがある。


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