なぜ、あの人は「本番」に強いのか:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
テストの勉強をせずに、いざ本番で頑張っても問題は解けない。プレゼンでは、席に着いたところで本番の勝負がついているのは分かるだろう。
私が編集者に「『10年で英語がペラペラになる』という本はどうですか」と聞くと、「それは企画が通りません」と言われました。世の中に、それだけじっくり腰を据えて何かをしようとする人が少なくなっているということです。
長期的な発想をする人と短期的な発想をする人とでは、本番力に差が生まれます。「本番力」と言うと、瞬発力を思い浮かべがちです。実際は、瞬発力だけの問題ではなく、長期的な持続力のある人が、結果的に本番力を身につけられるのです。
本番力のある人は、自分にストレスをかけられる。ない人は、人からストレスを与えられる。
「ストレスはいいのか悪いのか」という議論があります。
まったくストレスがない状態は、逆に本番力がなくなります。単に、ストレスがあればいいというわけではありません。コレステロールに善玉コレステロールと悪玉コレステロール、腸内細菌に善玉菌と悪玉菌があるのと同じように、ストレスにも善玉ストレスと悪玉ストレスがあります。
善玉ストレスをかけると、その人のメンタルは強くなります。
悪玉ストレスがかかると、その人のメンタルは弱くなります。
善玉ストレスと悪玉ストレスの違いは、ストレスをかけている原因が自分から出ているか、他者から来ているかです。
例えば、上司に「今月は100万円売ってこい」と言われました。これは上司から言われたノルマなので、悪玉ストレスになります。
ところが、自分で「今月は100万円売ってやろう」と考えた場合は、同じ100万円という金額でも善玉ストレスになります。
受身のノルマは悪玉ストレスになり、みずから積極的、能動的に決めた目標は善玉ストレスになるのです。
上司から「100万円売ってこい」と言われても、「よし150万円売ってやろう」と考えた瞬間に、善玉ストレスに変わります。
ラクすることを考えると、脳はダメになります。
例えば、上司に「100万円売ってこい」と言われて、「すみません、80万円でなんとかなりませんか」と交渉しました。
人から与えられた数字をどんなに小さくしても、善玉ストレスには変わってくれません。
ノルマを人から与えられている限り、どこまでいってもラクにはならないのです。
著者プロフィール:中谷 彰宏
作家
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂勤務を経て、独立。91年、株式会社中谷彰宏事務所を設立。
【中谷塾】を主宰。全国で、セミナー、ワークショップ活動を行う。【中谷塾】の講師は、中谷彰宏本人。参加者に直接、語りかけ質問し、気づきを促す、全員参加の体験型講義。
著作は、『なぜ、あの人は「本番」に強いのか』(ぱる出版)など、990冊を超す。
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