シンギュラリティに向け勝ち残る企業とは――人生140年時代の今、中堅こそ起業を:ITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(2/2 ページ)
2045年に訪れると予測されている「シンギュラリティ」。人工知能が人類を超越する時代に生き残ることができるのはどのような企業、そして人なのだろうか。
エネルギーに関しては、太陽光の活用が注目されている。太陽光でエネルギー問題が解決できれば、食糧問題なども解決できる。ドローンも注目分野の1つでドローン事業は垂直に立ち上がるといわれているが、ドローンに取り組んでいる日本企業はまだまだ少ない。国策としてでも推進する必要があるだろう。
未来予測で重要なシリコンバレーマインド
未来予測、課題解決において重要なのは、「シリコンバレーマインド」である。シリコンバレーマインドとは、「先を見通す力」「ぶち上げて見方を募る」「社会インフラへのインパクト」である。
「先を見通す力は、サッカーでボールが転がる方向を予測して、先に動く能力である。また、サイエンスではなく資金力で解決できる問題に関しては、ぶち上げて見方を募ることで解決できる。アポロプロジェクトも、“月に行く”とぶち上げて成功した。こうしたマインドが、社会インフラへのインパクトを与える」(齋藤氏)
現在、象徴的な取り組みとしては、「Xプライズ」がある。Xプライズは、2004年にスタートしたコンテストで、ここから民間初の大気圏外有人飛行が実現した。日本でも、民間の月面探査チーム「Hakuto」の事業モデルがXプライズへの参加を表明している。コンテストモデルは、大きなことを成し遂げるのに有効な手段で、これにより人々の注目を集めることができる。
「ANA アバター Xプライズ」もその1つ。齋藤氏は、「このコンテストでは、バーチャルリアリティーが進化したときに、物理的に人を輸送するビジネスが破壊されることをANAが見越し、自身がアバターになり航空ビジネスを破壊しようとしていることが注目すべき点である。私自身も会社を設立して、有人ドローンで太平洋を横断するレースを企画したところ、レッドブルがスポンサーになってくれた」(齋藤氏)
シンギュラリティに向け求められるキャリア
こうした変化に、人類は耐えられるのか。齋藤氏は、「企業の成長スピードは、どんどん速くなっている。起業のハードルも下がり、学生でも簡単に起業できる。先人たちは、人生をかけて会社を作り、人生をかけて会社を育ててきた。現在は3〜5年で巨大企業を作ることができる時代。学生たちには、今やらなければ損だと言いたい。アイデアとパワーがあれば、資金調達も簡単で、失敗してもすぐにやり直すことができる」と話す。
10年後には、フォーチュン500のうち、40%が消えるという予測がある。あらゆる“ものづくり”は、5年以内に3Dプリンタの破壊的脅威にさらされる。今後、10年で10億人の知的労働者が、インドとアフリカで誕生する。こうした状況下において日本企業は、さらに成長のスピードを加速させ、ビジネスモデル自体を変革していかなければならない。重要なのは、自律的組織であり、実験文化を持っていることだ。
エクスポネンシャルな企業とは、従業員数に比べ、桁違いに大きな影響力を生み出す組織を持っており、エクスポネンシャル組織は、野心的な変革目標を持っている。この分野は、日本企業の弱い部分である。SNSやクラウドなどの外部資産を活用することで、自社にリソースを持つことなく、迅速にサービスを提供することができる。
齋藤氏は、「企業やイノベーション、組織といった既存の枠組みにとらわれることなく、高速実験失敗文化、シェアリングエブリシング、ソーシャルテクノロジーなど、新たな文化形成が重要になる。そのためのキャリアとしては、イノベーターを育成し、10%増でなく10倍を目指すことが必要になる。人生140年時代の今、若者はもちろん中堅こそ起業のチャンスと奮起してほしい」と締めくくった。
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