バカボンのパパは41歳、波平さんは54歳!――未来の身体作りのために知っておくべきポイント:ITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(2/2 ページ)
確実にやってくる人生100年時代を、イキイキと生きられる身体作りにいかに取り組むか……。
角谷氏は、「実際に、見た目だけでなく、細胞年齢も若くなっている。これは環境や周りの力もある。人生100年時代の身体作りでは、健康寿命の研究成果を活用するとともに、老け込んでいる人ではなく、“人生100年楽しむぞ!”という人といると実際に老けない」と話している。
未来の身体を作る前に知っておくべき7つのポイント
未来の身体を作る前に、知っておくべき7つのポイントは、次の通りである。
(1)ベストな身体は人によって違う
(2)人によって身体の反応が違う
(3)人によってリズムが違う
(4)人により遺伝子や常在菌が違う
(5)人により「身体の声」の精度が違う
(6)その他、もろもろ人によって違う
(7)健康情報って本当に必要?
この7つのポイントについて角谷氏は、次のように語っている。
(1)ベストな身体は人によって違う
秋元康さんは、ぽっちゃり体系だが、身体に気を使っていないわけではなく、トレーナーを付けて、あの身体を作っている。秋元康さんにとって、いいアイデアを生むためには、現在のぽっちゃり体系がベストということである。また、村上春樹さんは、作品作りにはマラソンによる持久力が必要と語っている。自分がどんなパフォーマンスを求めているかで身体作りは変わってくる。
(2)人によって身体の反応が違う
お米を食べて減量するボクシングの世界チャンピオンもいれば、お米を食べると、すぐに太ってしまう人もいる。体重を減らすだけなら糖質を抜いて筋トレをすれば実現できるが、糖質を抜いて調子がいい人もいれば、元気がなくなる人もいる。何が自分の身体に良いかを探ることが必要になる。
また現在、食事をしたときの血糖値の上がりやすさであるGI値をリアルタイムに計測できる機器が販売されている。このGI値を計測してみると、同じものを食べても人によりGI値の上下が異なることが分かる。世の中にあるデータを目安として使うのはいいが、人によって違うことを理解しておくことも必要になる。
(3)人によってリズムが違う
睡眠時間が1日45分でいい人もいれば、13時間寝ないとダメな人もいる。また、食事に関しても、1日3食が一般的だが、1日1食の人もいれば、1日8食の人もいる。さらに、バイオリズムも人により違う。そこで自分のリズムを感じ、調子がいいときにはしっかり働き、調子が悪いときには休むという“働き方改革”が有効になる。
(4)人により遺伝子や常在菌が違う
筋肉には、赤い筋肉と白い筋肉がある。この筋肉は、生まれたときには決まっていて、変えることはできない。球技に関しては、後天的な能力が左右することもあるが、陸上競技でオリンピックに出る人の筋肉は、生まれたときに決まっている。
(5)人により「身体の声」の精度が違う
企業は、より多くの商品を顧客に購入してもらえるように、常に顧客の嗜好(しこう)を研究している。食品であれば、食べて「おいしい」と感じる商品よりも、脳が「食べたくなる」と感じる商品開発を目指している。
また、エナジードリンクを飲むと、カフェインと糖質で元気になった気がするが、それは短期的なものであり、長期的にみるとよい状態とはいえない。よく「身体の声を聞け」というが、最初に身体の声を聞くと不健康になりやすい。長期的、短期的に身体をよい状態にすることで、「身体の声」の精度を向上することができる。
(6)その他、もろもろ人によって違う
人により、使えるお金、使える時間、仕事や家などの環境、好み、価値観など、もろもろ違う。この違いで健康状態も変化する。その中で、自分にあった身体作りを考えなければならない。
(7)健康情報って本当に必要?
これまでの6つのポイントでは、自分と他人は違うという観点で身体作りを考えてきた。7つ目のポイントは、医療系のインターネットの情報は正しくないものも多いということである。日本医科大学の勝俣範之教授の調査では、日本の医療情報を公開している240サイト中、正しい情報が12%で、危険な情報が32%あったという。
一方、米国では規制があるので、危険な情報は少ない。アレルギー検査、DNA検査に関しても、参考程度と考えておいた方がよい。また、肉を食べた方がいい、食べない方がいいと両方の議論がある。100歳を超えている人は肉食が多い傾向にある。これは、もともと胃腸が強いということもある。
また、ブルーベリーが目によいとか、グルコサミンやコラーゲンが効くとかいう科学的なデータはなく、エビデンスレベルの高い論文では、サプリメントはほとんど効果がないといわれている。
2017年に発表された興味深いエビデンスとして、炭水化物の1日の摂取量が60.8%を超えると死亡率で有意差があると報告されている。(世界18カ国13万人以上を7年追跡調査した最も信頼度が高いレベルのエビデンス)ちなみに厚生労働省では、炭水化物の1日の摂取量を50〜65%を推奨している。ということは、信頼度が高い厚生労働省が推奨している食事をしてもリスクが高くなる可能性もあるといえる。
身体作りは、人により違うのでは、自分の軸を作ることが重要になる。未来の身体を作るポイントをまとめると、身体作りはゴールも方法も一人一人違う、同じ人でも時期で違う、健康情報をあまりあてにしないということになる。
自分に最適な身体作りの方法
自分に最適な身体作りには、まず環境を変える力が必要になる。次に習慣を変える力が必要で、さらに自分を理解することである。そのためには、断捨離やファスティングでリセットし、食事や睡眠、ストレッチなどを1ジャンルずつ最適化する。さらに、1つのジャンルの最適化が身についたら、違うジャンルの最適化に移行する。
具体的には、「イチローカレー理論」がある。イチロー選手が毎日カレーを食べ続けるのは、朝のカレーを調子の基軸にしているからだ。朝ご飯にいろいろなものを食べると、朝ご飯が悪いのか、トレーニングが悪いのかを判断できない。ポイントは、“たまにリセットする”ことで、“忙しいときにしない”ことである。
角谷氏は、「“身体知能”という言葉を商標登録した。身体知能とは、AI時代に対応するために、身体からのアプローチで、自分が長く良い状態にいられる能力を得ることを意味する。これを意識することで、誰もが100ライフを楽しむことができる。これらの内容は、著書『鍛えていないと稼げません:身体づくりで生産性をあげよう(WAVE出版:2018年1月発行)』に書いてある。興味があれば、ぜひ読んでみてほしい」と話している。
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