50代でうまくいく人の無意識の習慣:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
50代になると、多くの人は元気がなくなってしまうが、50代という年齢でなければできないことはたくさんある。「本番はこれからだ、まだ始まっていない」というくらいの気持ちでいることが大切。
50歳までは、原点から離れることをずっとしていました。50歳から折り返して、いつの間にか原点の仕事を始めていくと、仕事感がありません。もちろん、新しいこともします。
これは今さら調べることではなく、自分の中にすでにあった鉱脈をもう一度、「こんな宝物があった」と気付けるかどうかです。50代は、「今までほったらかしにしていた宝物の蔵をあけた」という気持ちが湧いてくれば、ごく自然にいろいろなことができるのです。
子どものころに好きだったものを思い出す
中谷塾で授業をしていて、「あれ、これ、家のスナックと同じことをしているな」とデジャブを感じました。塾とスナックは、同じなのです。私が本に書いていること、みんなに教えていることは、結局、親から教わったことです。親は、おじいさんから教わったことを受け継いでいます。代々世襲しているのです。
私がマナーの本を書くのも、マナー教室に通ったわけではなく、日常生活の中で「これはこうしなさい」「それは紳士的じゃないですね」と、家で教わったことが原点です。原点回帰とは、原点に戻ることだけでなく、「これは大昔からやっていたな」と気付くことなのです。
文学芸者・樋田千穂さんは、一回結婚して、離婚して、再び花柳界に戻りました。年齢も上がり、子どももいるし、売れるためには人と同じことをしてはいけないと考えました。実際、小説が好きだった彼女は、「萬朝報」の懸賞小説に応募して当選しています。彼女は、面白いからといって、藤田伝三郎にかわいがられました。さらに、藤田伝三郎の紹介で引き合わせられた伊藤博文にかわいがってもらいました。
樋田千穂さんは、芸ではなく、子どもの時から好きだった小説で成功したのです。大人になる前に好きだったものに気付くことが原点に戻るコツなのです。
本番は、これからだ。
50代になると、多くの人は元気がなくなってしまいます。
人生を、はたち(20歳)から60歳の基準で考えて、もう残りわずかという気持ちになるからです。現代は、その先にも人生は続いています。本当の勝負はこれからです。勝負は終わったという思い込み感が、わびしさを生みます。
実際は、人生の上がりにはまったくなっていません。上がりと思った人が上がりになるだけです。経験がある分を生かしたり、脳を鍛えたりすれば記憶力や柔軟性もたくさん使えます。これまでの経験をつなぎ合わせることができます。
50代という年齢でなければできないことはたくさんあります。「本番はこれからだ、まだ始まっていない」というくらいの気持ちでいることが大切です。
なんとなく、負けた試合の消化試合のようなしょぼくれた感じは、本人が出しているだけです。自分がそう感じると、それが現実になってしまうのです。アンチエイジングでは、「気持ちはあるけど体がついていかない」というのはウソだと証明されています。体より前に気持ちがめげているのです。
これは体の問題だけでなく、仕事においても同じです。まず、「勝負はこれからだ」という気持ちを持つことです。人生100年時代では、50歳まではまったく下積みです。「これまでのことは練習で、これからいよいよ本番が始まる」と考えます。「本番はこれから」と考える人には、さまざまな無意識の習慣があるのです。
著者プロフィール:中谷彰宏 作家
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂勤務を経て、独立。91年、株式会社中谷彰宏事務所を設立。
【中谷塾】を主宰。セミナー、ワークショップ、オンライン講座を行う。【中谷塾】の講師は、中谷彰宏本人。参加者に直接、語りかけ質問し、気づきを促す、全員参加の体験型講義。
著作は、『50代でうまくいく人の無意識の習慣』(青春出版社)など、1080冊を超す。
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