ブレイクセルフ 自分を変える思考法:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
仕事は全て「自己表現の場」と考え、「自分自身を表現する」ことができるようになったらどんなにすてきだろうか。それは可能である。
次第に、成果は後からついてくるようになった。そして、どの業界でも、腕利きのセールスマンはみな、同じようなスタンスで抜群の成果を上げ続けていることを知った。彼らも、顧客の悩みや困りごとに対応し続けることによって顧客に喜んでもらい、結果としてその顧客との取引で売上を上げたり、新規顧客を紹介してもらったりしていたのだ。
焦ってお願いしたり、無理やり結果を残そうとしても、成果は出ないし、例え多少成果につながったとしても長続きしない。種をまき、水をやり続ける姿勢が大事だ。
(3)Connecting the Dots
これは、Apple創業者のSteve Jobsがスタンフォード大の卒業式の祝辞で言った言葉だ。全ての経験のDot(点)は、後からConnectする(つながる)。そしてそれは前もって予測することはできず、後から分かることだ、と彼は言った。
僕は、自分のキャリアでこれを実感した。銀行員から、プラスというメーカー/流通の会社で働き、インターネットサービスの会社であるヤフーに転職した。所属する会社は全然違う業界だ。そして仕事も、銀行員時代には営業や事業再生、プラス時代は物流、マーケティング、新規事業開発、経営を経験し、ヤフーでは企業内大学の責任者として、リーダー開発を行っている。つまり仕事もバラバラだ。
さまざまな会社でいろいろな仕事をしてきたが、これが今、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(武蔵野EMC)で、起業家精神を育む学部をゼロから立ち上げ4月に開設できたことに、全てがつながった。この学部を立ち上げ、起業家精神を育んでいくためには、自らの経験が全て役立つ。まさにConnecting the dotsだ。
Jobsが言った通り、これをあらかじめ予測することはできない。後からつながっていたと知る。そのためには、「きっとつながる」と信じて、やり続けるしかない。
(4)Follow Your Heart
ここからは、「自分を変えていくプロセス」だ。Give&Listen、Seed & Waterのプロセスを経て、少しずつConnecting the Dotsしていくと、成果が出てくる。
成果が出てくると、仕事のステージが上がる。どういう方向に自分を導いていったらいいか、迷うことも出てくる。何が正しいか、どうしたら成功するか、分からなくなることがある。そんな時、あなたはどうやって動くだろうか。確かに、まわりの意見には耳を傾けるべきだ。そして分析はしっかりとするべきだ。だが、そうすることによって答えが出てくるわけではない。そもそも、仕事に「正解」なんてない。
ではどうするか。
自分で決めるのである。自分で決めて、進んでいくわけだから、Follow Your Heart、最後は自分の心の声に従う。
自分で決めればいい。だがそれがなかなかできない。だから、意思を持って「自分で決める」ことを繰り返していく。身も蓋もないが、自分の声に従えるようになるためには、自分の声に従って決める「経験を積み重ねる」しかないのである。
(5)Dive
最後は、自分を信じて飛び込むこと。1)から4)のプロセスを積み重ねていたら、あとは、「飛び込む」、ダイブするだけだ。ここまでできてきた人は、「飛び込む」意味は理解しているはずだ。自分を信じて、勇気を持って、飛び込もう。
このプロセスを経る中で、最終的に僕は、僕の思いに従って、僕の思いを仕事の中で表現し、実現することができるようになってきた。悶々としているあなたも、きっと変われる。そして、仕事で自分を表現できるようになると、本当に人生が豊かになる。
あなたのブレイクセルフを、心から応援している。
著者プロフィール:伊藤羊一
Zホールディングス株式会社 Zアカデミア学長/ヤフー株式会社 コーポレートエバンジェリスト Yahoo!アカデミア学長/武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長/株式会社ウェイウェイ 代表取締役/グロービス経営大学院 客員教授
日本興業銀行、プラスを経て2015年よりヤフー。現在Zアカデミア学長としてZホールディングス全体の次世代リーダー開発を行う。またウェイウェイ代表、グロービス経営大学院客員教授としてリーダー開発を行う。2021年4月 武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(武蔵野EMC)学部長就任。代表作に50万部超ベストセラー「1分で話せ」。ほか、「1行書くだけ日記」「ブレイクセルフ」など。
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