話すも聞くも議論するのも、結論と根拠のピラミッドでやってみよう:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
話を聞くや議論するなど、コミュニケーション全般は同じ「結論と根拠のピラミッド」で考えることができる。その方法とは。
私は人の話を聞いて理解するのが苦手でしたが、ピラミッドをイメージしながら聞くだけで、話の理解度は全く変わってきます。もちろん、全ての話がこう整理できるわけではありませんが、かなり使えますので、チャレンジしてみてください。
3、コミュニケーションに活用する(議論する時)
「聞く」時に活用できたら、議論する時にも応用できます。
「議論する」というのは、相手と自分で(またはそれ以上で)意見を出し合い、その議論の結果、ある結論を出す行為です。ですので、自分にも結論と根拠のピラミッドがあり、相手にもピラミッドがある、それを見せ合いながら話す、ということですね。
もちろん、参加者がしっかりとピラミッドを用意して議論に臨むわけではないので、まずは、参加者がどんなピラミッドを持っているのか、整理していくことがファーストステップです。それは、「聞く」時のやり方がそのまま使えます。みんなで、まずはそれぞれの参加者がどういうピラミッドを持っているのか、明確にしていきましょう。最初から明確にない場合は、「今考えるとするとどういうピラミッドになるだろう」と、議論の中で自分のピラミッドを一人一人作っていきましょう。
参加者それぞれのピラミッドが明確になったら、それを踏まえてどうするかを、話します。参加者のピラミッドの結論部分が、その人の「主張」「意見」になるわけですから、各参加者のピラミッドを全員で理解します。
そのうえで、議論の結論を出す際は、パターンとしては、(1)自分の結論とするか、(2)相手の結論とするか、(3)自分と相手の結論をがっちゃんこするか、(4)自分と相手のピラミッドを考えたうえで、新しい結論を出すか、の4種類になります。
多くの場合、(1)と(2)で「どっちをとるか」という話に終始し、感情的な言い合いになったりします。そして、これを解決するには、両方をたてよう、ということで(3)の結論になり、それが「ベストな結論」であればいいのですが、往々にして、感情的になってしまった状況を解決するために(3)を選択した場合、(1)や(2)よりもレベルが低くなったりします。
よりよい結論を出すためには、(4)の「新しい結論、新しいピラミッド」を一緒につく作るのだ、という意識で臨むのが明らかによい方法です。(1)や(2)の結論になることもありますが、それだけですと、「とるか、とられるか」となりがちです。それだけではなく、「この議論で、よりよい結論を一緒に出す」ことを是非、意識してみてください。
議論を明確にするために、「結論と根拠のピラミッド」で考えてみる。是非、試してみてください。
4、おわりに
話すにしても、聞くにしても、議論する時にも、結論と根拠のピラミッドを活用することで、圧倒的に話の構造が分かりやすくなります。最初からうまくできないかもしれませんが、「ピラミッドで考え、ピラミッドでコミュ二ケーションする」を意識して実践すれば実践するほど、やりやすく慣れてきます。みなさんのコミュニケーションがより良くなることを、心から願っています。
著者プロフィール:伊藤羊一
Zホールディングス Zアカデミア学長/ヤフー コーポレートエバンジェリスト Yahoo!アカデミア学長/武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長/ウェイウェイ 代表取締役/グロービス経営大学院 客員教授
日本興業銀行、プラスを経て2015年よりヤフー。現在Zアカデミア学長としてZホールディングス全体の次世代リーダー開発を行う。またウェイウェイ代表、グロービス経営大学院客員教授としてリーダー開発を行う。2021年4月 武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(武蔵野EMC)学部長就任。代表作に50万部超ベストセラー「1分で話せ」。ほか、「1行書くだけ日記」「ブレイクセルフ」など。
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