ドラッカーに学ぶ「部下に成果を上げさせるために、上司が果たすべき2つの責任」とは?:ITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(2/2 ページ)
著書『マネジメント』などで知られ、国内外の多くの経営者やリーダー層に影響を与えてきた経営学者のピーター・ドラッカー。このドラッカーの理論で経営チームのコンサルティングを行う山下淳一郎氏に、ドラッカーの教えに基づいた部下に成果をあげさせるための方法を学ぶ。
「このような事例は他にもあります。あるメーカーで、設計者の仕事が遅くて新商品のリリースが遅れ、業績が低迷するという状況が起きていました。その原因は、設計者の勤務時間の半分以上を報告書の作成や、出席しなくてもいい会議に時間がとられていたことでした。そこで、設計者は設計に関する会議のみに出席するようにしたところ、設計の仕事に集中できるようになり、設計の数が2.7倍になったそうです。新商品の数も増え、2年後業績は1.9倍になったと言います。このように本来集中すべき仕事に集中することができた結果、業績も改善しました。御社は、集中すべき仕事に集中できる状態にあるでしょうか?」(山下氏)
成果をあげるための秘訣を一つだけ挙げるならば、それは集中である。集中とは、「真に意味あることは何か」、「最も重要なことは何か」という観点から時間と仕事について自ら意思決定をする勇気のことである
ピーター・ドラッカー
あなたの部下は何に集中すればいいのか?
あなたの会社では、あなたの部下は何の業務に集中すればいいだろうか。上司と部下の認識が一致しており、部下が集中すべき業務に集中できる環境にあるのであれば問題ないと言えるだろう。
もし部下が集中すべき業務に集中できていない場合は、上司が「集中すべき業務」と「やらなくていい業務」を振り分けて選択をする必要がある。部下はやる気がないと誤解されたり、評価が下がったりするのではないかと恐れ、「○○の業務はやりません」と言い出すことができない場合が多い。部下が「やらないこと」を決めるのは難しいため、上司が決めてあげる必要があるだろう。上司は、部下が本来の仕事に集中できる環境にあるかどうか、定期的に確認してほしい。
山下氏は企業にコンサルティングを行う際、「今ある会議をいったん全部やめましょう」と提案することがあるという。もちろん、すべての会議をやめてしまうことは難しい。そこで、「会議をすべてやめるけれども、必要な会議はすぐに復活する」ことにすると、約4分の1の会議は復活してこないそうだ。
かつては機能していた会議も、形骸化して開催すること自体が目的になっている場合がある。そういう会議を減らしていくことで、集中すべき仕事に集中できる時間が増える。
「成果を上げる人・組織は、“ストップ(何かをやめる)”、“チェンジ(何かを変える)”、“スタート(何かをはじめる)”の3つをいかにコントロールできるかにかかっています。逆に考えて、何もやめない、何も変えない、何も始めない、こんな組織が成果を上げることはできないですよね。ぜひこの3つをコントロールできる上司となり、部下を導いて、成果を上げる組織を作ってください」(山下氏)
山下氏は上記のようにまとめて、『ドラッカーに学ぶ「部下に成果をあげさせる上司5つの実践」:第2回上司が果たすべき2つの責任』の講演を終えた。前回の「第1回 上司がしなければならない1つのこと」、今回の「第2回 上司が果たすべき2つの責任」に続く勉強会「第3回 上司が継続すべき2つのこと」は2014年3月13日(水)に実施予定となっている。
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