戦略コンサルタントの視点
IT業界に構造変化 「第2の繊維産業化」のおそれも(2/3 ページ)
中堅ベンダー 最も難しい舵取り――急成長か撤退か
売上高が500億円から2000億円といった中堅ベンダーへのオフショア開発の影響は複雑です。
中小ベンダーがすぐに影響を受けるのに対して、中小ベンダーの発注元である中堅ベンダーへの影響はやや時間をおいて発生してくることになります。この時間差は、将来への方向転換への猶予期間・準備期間ととらえて迅速に戦略立案と意思決定を行う中堅ベンダーと、一過性の需要落ち込みと思い込み現状維持のまま忍耐し続けるベンダーの二種類に分けることになります。結論から言えば、業界での存在意義を一気に失っていくベンダーも出てくることになるでしょう。
中堅ベンダーの中には、大手ベンダーのグループ子会社のベンダーが多く存在します。
親会社はオフショア拠点を含めたグループ内での各子会社ベンダーの存在意義や役割分担・方向性を決めることを迫られます。システム開発やサービスに必要となるエンジニアや設備の確保、マーケットから求められる原価を考える中から、子会社の維持に必要となるコストが導出されてきます。
例えば、現在のところ1000~2,000億円の売上高を上げている子会社であったとしても、オフショア活用により子会社向けの充分な仕事が供給できなくなる場合には、他ベンダーへの売却も現実的な選択肢となります。
中堅ベンダーの中には再編の流れをうまく利用し、一挙に大手へと変身していくベンダーも登場してきます。
数年前「ベンダーは売り上げ3000億円以上でないと生き残れない」との認識のもと、単純な規模拡大を正当化し、M&Aを繰り返した企業も見受けられました。我々としてはこの売り上げ3000億円という数字に、経営的な根拠を全く見いだしていません。結論から申せばまだまだ売り上げ規模的には「少な過ぎ」「中途半端」な感じは否めません。
言うまでもなく、ただ大きければ良いというものではありません。ホールディング制を方便に単なる寄せ集めのままのベンダーも存在します。これではさらなる大きな成長の余地は見込めません。エンジニアや営業の「一社」としての動員力・機動力が出せなければ意味がありません。さらに大事なことは、合併による資金量の拡大が無ければ、大規模ベンダーなりの投資ができません。M&Aの戦略においても、まだまだ改善の余地が大きいと考えています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
日本とアジアの植物文化を編み直す拠点「大多喜有用植物苑」が千葉にオープン
-
2
ビジネスもセキュリティも「数字で示すしかない」 - JERA CIO兼CISO 行徳セルソ氏
-
3
セキュリティは「使えてなんぼ」 認証との偶然の出会いから22年 - NTTデータ 星野氏
-
4
第1回:到来した「自律型AI時代」
-
5
第50回:なぜ「優秀なマネジャー」ほど経営に嫌われるのか
-
6
器の大きい人は、メールラリーを、相手のメールで終わらせる度量がある
-
7
新幹線にスマホ10台! 説明前にまず自分で確かめる - Zimperium 成田氏
-
8
50代で退職したらどうなる? 辞めてはいけない4タイプ
-
9
フジテレビが「アドレッサブル広告」開発 商用化に向け技術実証加速
-
10
AI画像認識で検査効率化、技能継承やロボ自律制御にも活用へ 東芝総合研究所の落合誠所長
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー