戦略コンサルタントの視点
IT業界、戦略の甘い買収はそろそろやめる時(3/3 ページ)
戦略実現のための有機体へ
労働集約にせよ設備投資にせよ、単に同じような特徴を持つ企業群が、統制力がないグループという傘の下に集まっても、売り上げや利益を押し上げることはできません。逆に、いったん市場環境が悪化した場合には、経営陣は業績が悪いグループ企業の手当てに負われ、ますます成長戦略を描くことが難しくなってしまいます。
ホールディングス制という形態も、事業そのものの迅速な意思決定や、強固なガバナンスには不向きであるという面があることは否定できません。ホールディングス制を採用する場合でも、グループ会社のガバナンスに専念する純粋持ち株会社制ではなく、本業を行いながら子会社を統括する事業持ち株会社制の方が効果的な場合が多いのではないかと考えられます。
ただ、大事なことはホールディングス制の在り方を議論することではなく、買収後の事業や資源のポートフォリオを描き、買収したベンダーの内部にも深く踏み込み、グループ間連携や統合を実現し、1つの企業、有機体として存在していくことです。
これを成功させるためには、買収前のデューディリジェンス(事業精査)を適切に実施することが不可欠です。対象ベンダーの強みや自社との相性・シナジーの正確な理解がなければ、買収後の成長戦略を描くことは不可能です。
また買収後にはPMI(Post Merger Integration)と言われる「事業・組織の統合化」の巧拙が、成長戦略実現の成否を分ける決定的な要因になります。
次回以降は、これらの「システムベンダーへのデュー・ディリジェンス」と「PMI」について考えてみることにします。
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