ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
すぐに使える「二項対立」の視点(1/2 ページ)
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」のバックナンバーへ。
書店のビジネス書コーナーに行くと、「論理思考」や「ロジカルシンキング」をテーマにした本をよくみかけます。最近ホットな「話し方」とからめて、「論理的な話し方」といったテーマの本も多く出ているようです。また、本のタイトルやテーマにはなっていないものでも、ビジネス書というジャンルの本を読むと、さまざまなフレームワークをみかけます。マーケティングの4Pや、MECE(ミッシー)といったものです。
こうしたフレームワークは、その分野では普遍性を持っているものが多く、有効に使うことができれば、実践的な武器になります。
ただし、難点もあります。1つは、ビジネス書で知ったフレームワークは、それを覚えること自体で満足してしまう危険があることです。「単なる知識」にとどまり、「使える知恵」にならないパターンです。もう1つは、仮に使いこなすことができたとしても、使える分野が限られているため(たとえばマーケティングのみ)、広く応用できないことです。
こうして多くのフレームワークは、まるで学生のころの試験対策のように、内容を知識として覚えることに意識が向けられてしまいます。結局「実際にはぜんぜん使えない」という結果に終わります。
すぐに使える究極のフレームワーク
わたしども法律家は、ほとんどの人間が「究極のフレームワーク」を使うことで、紛争を解決しています。それが「二項対立(にこうたいりつ)」という視点です。
裁判官・検察官・弁護士などの法律家は、なぜこのフレームワークを使うのでしょうか。それは法律家が扱う「紛争」というものは、結局のところ、「対立する2つの考え方」から発生していることがほとんどだからです。そして「対立する2つの考え方」をどのように調整していくかが、法律家の仕事だからです。
わたしどもが扱うものは「紛争」ですが、「利害の対立」という点でみると、ビジネスの世界によくあるシーンでも応用することができます。「会議での議論」や「クライアントとの交渉」、「上司と部下の対立」などあらゆる「問題」にあてはめることができます。
企画が通らない原因は?
例えば、ある会社の会議で、A課長が「その企画をなんとしてでも通したい」と主張しています。これに対して、B部長は「それはダメだ」の一点張り。A課長が通したいと考えている企画は斬新な企画です。これまで伝統あるX社にはなかったような企画でした。その対立軸はどこにあるのか、「二項対立」で考えてみましょう。
A課長は「売り上げが落ちているX社には新しい企画が必要だ」と考えていました。これに対して、B部長は「確かに新しい企画は当社に必要かもしれない。しかし、A課長の企画は荒削りすぎて多くの問題点や弊害がある」点を危惧していました。これは、「必要性」と「許容性」という「二項対立」で考えることができます。つまり、A課長は、新しい企画の「必要性」を主張の軸にしているのに対して、B部長は「必要性」はあったとしても「許容性」がないと反論していたのです。
- A課長=「必要性」○
- B部長=「必要性」○「許容性」×
このように整理すると、A課長が企画を通すためには、「必要性」ばかりを強調してもダメだと分かります。B部長も「必要性」があることは分かっているからです。A課長がB部長を説得するためには、いままでA課長がフォローできていなかった「許容性」を取り上げればいいのです。
「このような話をすると、次の問題点を指摘されるかもしれません。しかし、~。…よって、この企画には問題はありません」
といったふうに。予想される問題点(新しい企画を聞いたB部長が懸念するであろうこと)をあらかじめ説明できれば、B部長もすんなり了解したかもしれません。
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