ヘッドハンターの視点
候補者とヘッドハンターの微妙な関係(1/2 ページ)
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クライアントとヘッドハンターの間には「契約」がありますが、ヘッドハンターと候補者の間に契約はありません。
外資系中堅ソフトウェア会社(A社)社長の候補者になったBさんは、A社をよく研究し、アジアパシフィック役員たちとの電話・ビデオインタビューでもA社の日本市場における具体的な成長戦略を論理的に示しながら「御社の製品は日本市場で、とても大きな可能性がある」「このポジションは自分の経験ともマッチしていて、任せてくれれば成功させる自信があります」「ぜひやらせてほしい」と、非常に積極的でした。わたしにも「新しいチャレンジを考えていたところでした。とてもいいポジションを紹介してくれてありがとう」と言ってくれました。A社からの評価も高く、Bさんには最終インタビューのため米国本社に飛んでもらうことになりました。
ちなみに、役員以上のほとんどの採用の際には本社でのインタビューが実施されます。これがまた一苦労です。以前は飛行機もビジネスクラスを利用できましたが、近年はクライアントがエコノミークラスを指定するケースが増えてきました。候補者の多くは現職を持っているので何日も会社を休めません。そのため0泊2日の弾丸ツアーをアレンジすることもあります。長時間のフライトで疲れた上に、時差ぼけのボーッとした状態で臨んだことで大事なインタビューに失敗するなどということは避けたいので、少しでも体に負担がかからないように格安ビジネスクラスを探して費用を出してもらうようクライアントを説得したりもします。
フライトも無事アレンジし、6人の本社役員との集中インタビューを終えてBさんが帰国した数日後、A社の採用担当者から「役員の評価もよかったのでBさんにオファーを出します。ただ、期末と重なってしまったので少しプロセスに時間がかかります。1週間ほど待って下さい」と連絡がありました。
「オファーが出ます」というグッドニュースを喜んでもらいたくて、すぐにBさんに電話しました。ところが、Bさんはそれまでとは少し違うトーンで「あー、そうなんですかぁ。困ったなぁ。もっと早くオファー出ません?」。さらに「実は、他社とも話をしていて、そちらからは昨日、とてもいい条件のオファーをもらったんですけど、返答期限が1週間後なんですよ」
「えー? 聞いてないよぉ?!?!」(わたしの心の声)
実際、候補者が複数案件を並行して進めているということはよくある話なので、ヘッドハンターとしては十分注意が必要です。他からのお誘いがあることは必ずしも悪いことではなく、それだけ市場価値が高い候補者だとも考えられます。
ただ「(具体的な企業名など知る必要はありませんが)他にも何かお話が進んでいたら教えてくださいね」といくらお願いしておいても、契約のないヘッドハンターと候補者の微妙な関係ゆえ「他とも話しているなんて言ったら対応が悪くなるかもしれない・・・・・・」などと思ってこの時のように教えてくれないケースもあります。
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