内山悟志の「IT人材育成物語」第2幕
【第3話】アイデアの競い合わせ(2/2 ページ)
目標の再設定
一般に、1対1の合意形成の時よりも人数が多くなった時の方が合意形成は難しくなってくる。それぞれのチームから1名ずつが調整役となり、それ以外のメンバーは自分達のアイデアを主張する説得役となるわけだが、回が進むにつれて調整役の役割が重要になってくるということである。人数が多くなってくると多様な観点から意見が出されるため、それらの良い点を活かしつつも、シンプルで分かりやすい表現にまとめていくために抽象化の能力が問われる。これができないと、単純に何でも盛り込んだ長い文章ができあがってしまうからだ。抽象化は、この改革塾でも川口が非常に重要視している技術であり、常々「それを一言で言うと何?」という問いかけが繰り返されているため、メンバーにとっては手慣れたものだ。こうして、IT戦略委員会の目的というテーマのアイデアが次第に収束していった。今回のメンバーは10名であるため、最後は5対5の討議となったが、議論の末以下の4つの目的が結論として導き出された。
<IT戦略委員会の目的>
- IT戦略の与件となる経営およびビジネス上の課題や戦略方針を提示すること
- 全社的に影響が及ぶ一定額以上の重要なIT投資案件の可否や優先順位を判断すること
- 重要なIT施策の経過および結果に関する報告を受け、改善すべき点があれば指摘すること
- ITを活用した改革に関する起案に対して、経営的な視点からアドバイスを提供すること
実は、ここで再設定したIT戦略委員会の目的には、改革塾メンバーのある企てが隠されていることを、オブザーバーとして参加していた相談元である浅賀はこの時点で気づいていなかった。
著者プロフィール
内山悟志(うちやま さとし)
株式会社アイ・ティ・アール(ITR) 代表取締役/プリンシパル・アナリスト
大手外資系企業の情報システム部門、データクエスト・ジャパン株式会社のシニア・アナリストを経て、1994年、情報技術研究所(現ITR)を設立し代表取締役に就任。ガートナーグループ・ジャパン・リサーチ・センター代表を兼務する。現在は、IT戦略、IT投資、IT組織運営などの分野を専門とするアナリストとして活動。近著は「名前だけのITコンサルなんていらない」(翔泳社)、「日本版SOX法 IT統制実践法」(SRC)、そのほか寄稿記事、講演など多数。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「大企業は一朝一夕には変わらない」 NTTデータ冨安寛氏がAI時代に重視する原理原則
-
2
初心者向けの料理教室、男性受講生が過半数に 家庭での調理頻度も増加
-
3
子供の夢をYouTuberからホワイトハッカーに! 具現化を進めるCISO - GMO 牧田氏
-
4
なぜ答えが揺れ、堂々と間違えるのか ―― 確率で動く生成AIの正体
-
5
ほんのちょっと心の持ちようを変えるだけで、人生も毎日も変わる
-
6
イオン、フィジカルAIで物流改革 配送拠点の自動化率5割達成 深刻な人手不足に対応
-
7
経営と現場の板挟みになりがちなガバナンス、優先してやるべきことを明確に――リクルート 鴨志田昭輝氏
-
8
「世界のベストバー50 2026」に東京のバー2軒がランクイン
-
9
第55回:「誰が言ったか」で判断していないか──SNS時代、エグゼクティブに必要な「空気に逆らう力」
-
10
コミュニケーションの質が一変! 心理カウンセラーの「聞く技術」とトレーニング法
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー