石黒不二代の「ビジネス革新のヒントをつかめ」
面白いサービスをまじめにつくる――カヤック 柳澤大輔 代表取締役CEO(2/2 ページ)
評価制度の基準は「変わる」ということ
他の共通項で特徴的なことは、チーム戦が好きな人が多いということです。決まったスタイルしかできない人はカヤックには向いていない。職人的な働き方を好む人もいますが、自分のスタイルを曲げない人ではなく、変化していける人を採用しています。
人にこだわるカヤックは、評価制度にもこだわっています。「変わる」を基準に設計されたその制度は、たとえ失敗しても変わることを根付かせるほどの徹底ぶりです。半期の評価の中に自分が失敗したことを記入させ、失敗していない人はチャレンジしていないとみなされます。そう考えると意外と誰でも失敗をしていることが分かります。気付かせることが、変化の源泉になります。失敗自身は、致命傷にはなりません。変わらなければ企業は継続できないからです。そしてイノベーティブであることを尊重するカヤックでは、何かが突き抜けていればいいからです。
給与制度は徹底的に公平に
どの会社でも文句が出やすい給与制度ですが、カヤックのそれは比較的職種を絞っているがゆえにスマートになると考えています。給与は360度評価、プロジェクトリーダーと同僚と自分が選んだ部下が参加します。また職種ごとに全員に主観でランキングをつけさせます。これにより職種内での実力がある程度上司の主観だけに左右されることなく、周囲の仲間によって公平に評価されます。これは全員に公開されているわけではありませんが、それを参考に経営層で決定します。
これはある意味、実力主義のスポーツ選手のような給与制度と言えるでしょう。プロジェクトで一発当てたか当てないかは、賞与で評価する仕組みです。柳澤さんは、評価制度は、もともと不公平なものだと思っています。それゆえに、方針をはっきり出し、チームやまわりの評価で決まっていくほうが公平さを保てると考えています。
理念を共有させるためのさまざまな制度
半年に1回、理念を考える合宿を全社員で行っています。文化を共有するためのエピソード委員会を実施しています。仕事を進める過程で苦労して成し遂げたエピソードをみんなで共有、蓄積することでさらに理念が高まっていきます。理念を浸透させるためビジョン検定を実施しています。ビジョンに関する質問に答えて点数をつける。ビジョンを楽しく覚えるための手法です。共通の価値観、大切にしているものを感じられる制度や機会、仕組みがあります。
カヤックのチャレンジ
カヤックのチャレンジは、世界戦略です。そのため、新卒でベトナムや中国の人を採用し始めました。iPhoneなどプラットフォームが既にグローバル化されているので、アプリもグローバルへの進出がしやすくなっています。去年出したiPhoneのグループチャットアプリが中東で1位になったりしていたので、いいアプリができれば地域を限定しないで進出しようと考えています。世界戦略もまずは組織戦略として外国人を増やし、そのメンバーに合わせて事業戦略を組み立てて行いきます。やはり組織ありきです。
国内では、ソーシャルゲームに関して、サードパーティーの3強になりたいと言います。今年後半からゲームをグローバルに展開していく予定です。
昨年の売り上げは16.2億。今年はその2倍弱という驚異的成長を続けているカヤック。次にどんな面白いことを始めるのか目が離せません。
私生活では子どもが大好きで子どもの行事にはすべて出席しています。そして普通で普通に幸せ、なのだそうです。
著者プロフィール
石黒不二代(いしぐろ ふじよ)
ネットイヤーグループ株式会社代表取締役社長 兼 CEO
ブラザー工業、外資系企業を経て、スタンフォード大学にてMBA取得。シリコンバレーにてハイテク系コンサルティング会社を設立、日米間の技術移転などに従事。2000年よりネットイヤーグループ代表取締役として、大企業を中心に、事業の本質的な課題を解決するためWebを中核に据えたマーケティングを支援し独自のブランドを確立。日経情報ストラテジー連載コラム「石黒不二代のCIOは眠れない」など著書や寄稿多数。経済産業省 IT経営戦略会議委員に就任。
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