海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点
立ち直る力を持った企業(3/3 ページ)
考え付かないことを考える
混乱の予測が難しい理由の1つは通常混乱は小さな、一見重要でない出来事の連鎖によって生まれるからです。最初、問題は検知されない場合が多いのです。
例えば、1984年12月2日の夜、インドのボパールにあるユニオン・カーバイド社の工場で、500リットルの水が610番タンクに漏れ出てしまうアクシデントがありました。そのタンクには殺虫剤を作る為に使用していたイソシアン酸メチルが入っていました。ちょうどこの時、同社は次のような問題を抱えていました。
- 圧力計と温度計が正常に機能しない
- 冷凍装置が作動しておらず、修理が必要だった
- ガス洗浄機がメンテナンスのため停止していた
- 焼却装置が部品交換のため停止していた
- 成膜装置の設計に欠陥があった
- 貯蔵タンクのアラームシステムに欠陥があった
これらの不備の1つ1つは致命的なものではありませんが、ここに水漏れという問題が加わったことで化学反応が起こり、40トンものイソシアン酸メチルが街中に流出し、死者4,000人、負傷者50万人という大惨事が引き起こされました。このような一見重大ではない不備が、史上最悪の産業事故に繋がるとは誰も予想していませんでした。
まさか? と思うことが本当に最悪の結果をもたらすこともあるわけです。ここの事例はそれをまさに物語っていると言えるでしょう。
真実と影響
そうは言っても、迫りくる災難の警告サインは大抵の場合発せられています。しかし、そのサインに気が付く人がいなければ意味がありません。災難は次の8つの予測可能な段階を踏みながら進んでいきます。それを理解することで自社の脆弱性を現実的に測定することができます。
災難を生むステップ~8つの警告サイン~
【Step1 : 準備段階】災難が来ると知り、その準備をする
【Step2 : 破壊的な出来事】ハリケーン上陸、飛行機事故、爆弾の爆発などが起きる
【Step3 : 最初の対応】会社の安全部隊と責任者が最も急を要する問題に協力して対処する
【Step4 : 遅れて現れる影響】最初の破壊的出来事は多くの場合、ただの始まりでしかない。第2の影響が現れる
【Step5 : 最大の影響】最悪の事態。業績が悪化し、在庫が底をつき、顧客の機嫌を損ね、災難の影響が痛々しい程明らかになる
【Step6 : 回復の準備】新しい状況に対応する策を練る
【Step7 : 回復】回復を実施する。障害を乗り越え通常の操業状態に復旧させるには多大な労力が必要なため、これには膨大な時間がかかる
【Step8 : 長期的影響】顧客との関係を修復し、市場シェアを取り戻しブランドイメージを回復する
困難な出来事は問題と同時にチャンスも与えてくれます。企業を改革し、再活性化する中、新しいベンダーやサプライヤー、新しい製造手法やマーケティング・テクニック、さらには新しいテクノロジーを発見することができます。
災害の初動から事態の収束、そして復活までのステップを細かく記載しています。何か起こるとパニックになり、なし崩し的に収束し最悪企業そのものが消え行くこともあります。そうした事態を防ぐためにもここに書かれている8つのステップはしっかりと心得ておくべきことなのではないでしょうか?
著者紹介
ヨシ・シェフィは、マサチューセッツ工科大学のエンジニアリング・システム教授および、交通物流研究センターの主任を務めています。国際的知名度のあるサプライチェーン管理の専門家として、世界中のトップ企業と仕事をしてきました。
Copyright© 2014 エグゼクティブブックサマリー All Rights Reserved.
海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「CISOは1人の経営者たれ」――ログの先の人を思う、LayerX CISO 星氏
-
2
「人間洗濯機」が高齢者施設に 福祉の現場に万博技術導入 人手不足解消や産業成長に期待
-
3
味の素社が挑む“dX”とAI駆動開発――“企画・開発・営業ができる人財”が新規事業を加速する
-
4
高島屋・村田善郎社長 挑戦続けるアバンギャルドな百貨店 ベトナムや新型SCに重点投資 My Vision
-
5
なぜコーポレートITはコスト削減率が低いのか――既存産業を再定義することでDXを推進
-
6
ITmedia エグゼクティブ勉強会スケジュール
-
7
森ビルが挑む、DXを通じた「ヒルズライフ」の充実とコア領域の内製化
-
8
どの区立中からも通えるオンライン将棋部発足 休日はリアル、プロ級も指導 東京都大田区
-
9
公共交通インフラの使命を軸に、事業継続への攻めと守りを大胆に実行する - JAL 鈴木氏
-
10
第52回:「管理」する時代は終わった──AI時代、マネジャーに残された本当の仕事とは?
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー