新時代のプレイングマネジャー育成法
部下を惹きつけるプレイングマネジャーとは(2/2 ページ)
人を惹きつける前提として、そもそも自分は賛同しているのかどうか
そつがなく周りから決して悪くは言われない40代のプレイングマネジャーBさんがいた。周りのメンバーが「ビジョンは掲げているが、Bさんは本当にマネジャーをやりたいのですか?」と質問すると、言葉が止まってしまった。「やらねばならない」という思いで日々行動し、そしてビジョンも掲げてみたが、自ら「したい」というような思いが全く含まれておらず、何も言い返すことができなくなっていた。
このような人は多い。目指すべきビジョンを書くときに与えられた目標を書いたり、どこの部署でも通用しそうな標語のようなものを書いたりするような人だ。責任感が強く、まじめな人に多い傾向である。しかし、「やらねばならない」で描いたビジョンは、周りだけでなく自分自身を動機づけることも難しい。
野田智義・金井壽宏著「リーダーシップの旅」では、リーダーになっていくプロセスには3つの段階があり「"リード・ザ・セルフ(自らをリードする)"を起点とし、"リード・ザ・ピープル(人々をリードする)"、さらには"リード・ザ・ソサエティ(社会をリードする)」"へと段階を踏んで変化していく」とある。目指すべき方向性であるビジョンに対して、まず自分が前に進んでいると、いつの間にか振り返ると人がついてきているという状態なのだ。人が動きたいか動きたくないかの前に、まずは自分が動きたいと思い、前に進むことこそが、リーダーシップを発揮する上で大事なのである。
やらねばならないビジョンではなく、自分が成し遂げたいビジョンを描く
「やらねばならない」ではないビジョンを描くためには、以下2つが大事である。
まず1つ目としては、自らが何を大事にして仕事をしているのかを認識し、それにそったビジョンであるかどうかを考えて欲しい。例えば、「創造(新たなものを創りだす)」を大事にして仕事をしている人であるならば、そのビジョンには「創造」ができる可能性があるのかということである。また、「人とのつながり」を大事にして仕事をしている人であるならば、そのビジョンには、部署内外の人とのつながりが促進されるような内容になっているのかということだ。
ビジョンを描くために、自ら働く上で、マネジャーとして大事にしている信念を見つめてほしい。信念が含まれると、ビジョンに自分の色が出てくるだろう。
2つ目としては、自らの役割や制約条件にとらわれ過ぎずに「自分自身はこの部署全体で、どのような価値を提供していきたいのか」「自分自身は、どのような組織状態で働きたいと思っているのか」を考えてほしい。「やらねばならない」をすべて外してみた時に、自分が本当に「したい」ことが現れる。それを見つめることで、改めて自組織のビジョンを見てほしい。そして、自分自身が動きたいビジョン、すなわち、自分が成し遂げたいビジョンを描いてほしい。
前回と今回を通じて、プレイングマネジャーとして現状を打破するために、ビジョンを描く3つのポイントについて述べた。次回は、これらのビジョンをもとに「やるべきこととやらないことを決断する」について詳しく考えていきたい。
著者プロフィール
上林 周平
株式会社シェイク 取締役
大阪大学人間科学部卒。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。主に業務変革などのコンサルティング業務に携わる。2002年シェイク入社。各種コンサルティング業務と並行し、人材育成事業の立ち上げに従事。その後、商品開発責任者として、新入社員から若手・中堅層、管理職層までの各種育成プログラムを開発。また、2004年からはファシリテーターとして登壇し、新入社員から若手・中堅層、管理職層まで育成に携わった人数は1万人を超える。2011年9月より取締役就任。
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