気鋭の経営者に聞く、組織マネジメントの流儀
仕事は、与えられた役割を演じるロールプレイ――たかが仕事で、その人の人格が傷つく必要はない(1/2 ページ)
株式会社ツナグ・ソリューションズは、現場を支えるアルバイト・パート人材に特化し、業界初となるアルバイト・パート専門の採用コンサルティング会社として2007年に創業。人材業界の中では、利益率の低い分野であるにも関わらず、急成長を遂げている。業界において確固たる地位を築いた背景には、どのような独自の組織マネジメントの流儀があったのだろうか。
安定的かつ継続的サービスの提供が飛躍的成長を可能にする
中土井:採用の業界で、アルバイト・パートに特化しようと考えたのはどうしてですか?
米田:この業界で、アルバイト・パートに特化している会社が1社もなかったからです。エグゼクティブや新卒の採用と比べて、アルバイト・パートの採用には、企業は予算をあまりかけません。ということは、この分野は儲からないビジネスだということです。
しかし、働く人数で考えてみると、アルバイト・パートのボリュームはとても大きい。現場で働くアルバイト・パートの方々が元気になれば、日本を元気にできると思っています。働く場所と機会が多くあり、そこで働く人々が元気に仕事に取り組めるような環境を作りたいと考えました。日本中に、明るいあいさつが飛び交うような職場がたくさんあると素敵です。
私は、もともとリクルートフロムエーというリクルートの子会社で働いていました。当時からアルバイト・パートに関わる仕事をしていて、そこで培った経験、ノウハウを生かして、現在の事業の立ち上げにいたっています。
中土井:独立してからすごい勢いで売上を伸ばしていますが、何がそれを可能にしているのですか?
米田:お客さまからの信頼を最も大切にしているということです。採用代行という仕事はスポットの仕事ではなく、継続的なお付き合いが必要になります。安定的かつ継続的なサービスの提供が求められる分野です。去年より今年、今年より来年、いいサービスを安定的かつ継続的に提供することができて、少しずつでもお客さまが増えれば、必然的に売上は上がっていくことになります。1社1社との信頼関係を築けたからこそ、増収につながっています。
安定的かつ継続的サービスの提供のためには、属人的な業務を減らしていく必要があります。弊社では、休暇制度を充実させ、きちんと休むことも仕事だとよく言っています。休みを多くすることは、ひとつの業務に関わる人を増やすことにつながります。休んだ時には引き継ぎ書を書いてもらうので、違うスタッフでも対応できるようになります。離職率も下がるので、長く勤めてもらうことで習熟度が上がり、サービスの質も高まります。
誠実で嘘のない仕事を目指すようになったのは、新卒時代の強烈な営業経験があったから。
中土井:お話を伺っていると、誠実に仕事をしたいという思いがとても強いことが伝わってきます。
米田:仕事に対しては、「ちゃんとしたい」という思いがとても強いと思います。誠実で嘘のない仕事をいつも目指しています。誠実な仕事をするためには、自分たちの存在意義を深く考えなければなりません。われわれは採用のマーケットで雇用の機会を増やす仕事をしているので、自社での雇用調整は絶対に行いません。採用代行を行っている以上、自身がまず雇用を生み出さなくてはいけないという思いがあるからです。また、採用代行業においては、営業利益が10%以上の仕事は基本的にやらないということも決めています。代行業が儲かりすぎていたらおかしいという思いがあるので、大きな利益幅は取らない方針です。
中土井:仕事に対して誠実でありたいと思うようになったきっかけは何かあるのですか?
米田:新卒でリクルートフロムエーに入社してすぐに経験した出来事が「ちゃんと仕事をしたい」という価値観の形成に影響していると思います。当時の私は、就職活動も順調で、希望の会社に入社することができました。フロムエーというアルバイト・パートの求人誌の営業として配属され、当然、仕事もすぐにできるだろうとなめてかかっていたところがあったと思います。同期の中でも一番初めに受注を得たいという思いが強かったです。
私の担当エリアに、夫婦ふたりで経営しているラーメン屋がありました。私はそこに何度も通って、そのお店から受注を得ることができました。念願叶って、同期の中でも一番初めの受注でした。掲載が終わり、そのお店へ行ったのですが求人に応募がなく、全く効果がなかったと言います。そのときに言われたことが忘れられません。「応募がなくてよかった。この店に人なんて必要ない」と言われたのです。採用の必要なんてなかったのです。話を聞くと、その夫婦の息子も私と同い年。新卒で営業をしていると言います。毎日帰ってきては、飛び込み営業が大変だと漏らしていたそうです。私と息子さんを重ねて見て、親心で受注をくれただけだったのです。掲載料の28840円はレジからではなく、自分の財布からくれました。その日は泣いて帰ったのを覚えています。自分は仕事をなめていたのだと思い知らされました。その経験が今の「誠実に仕事をする」という価値観のベースになっていると思います。
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