2020年に向け重要な都市IT基盤となる「スマートシティ」(2/2 ページ)
一方、V2Xプロジェクトは、電気自動車(EV)やハイブリッド車(PHV)のバッテリーを、平常時はもちろん、災害時にもビルの電源として活用するプロジェクト。社用車に採用されているEV/PHVのバッテリー電源を、平常時にはビルの電力利用量のピーク時に利用し、災害時には緊急用の電源として有効活用する。
「いかにバランスよく管理していくかが重要。現在はクリスタルタワーで実証実験中だが、今後は大阪ビジネスパークのほかのビルとも協力して、公共交通機関へのデジタルサイネージや来訪者への情報発信など、さまざまな役割分担で実験を行い、スマートシティを実現する」(後神氏)
東京オリンピックに向けた都市IT基盤づくり
スマートシティの実現には、ITの活用が不可欠である。そのための仕組みのひとつとして竹中工務店では、「ビルコミュニケーションシステム」を開発している。ビルコミュニケーションシステムは、ビルオートメーションシステムとか、中央監視システムとも呼ばれているビル設備の制御システムをクラウドに対応させたものだ。
これまでのビルオートメーションシステムは、照明、空調、給排水などの設備制御システムをビルごとに開発し、20年間使い続けていた。以前は「そういうもの」との認識だったのでバージョンアップのニーズは特になかった。しかし現在、20年間進化しないビルオートメーションシステムでは変化に対応できない。そこでクラウドサービスの活用で変化に即応している。
後神氏は、「スマートシティでは、ビルオートメーションシステムもクラウド化に向かっていくことになる」と話す。そこで現在、竹中工務店が構築しているのが「ビルコミュニケーションシステム」である。ビルコミュニケーションシステムは、竹中工務店、NTTコミュニケーションズ、日本マイクロソフトの3社で推進する次世代のビル管理システムである。
ビルコミュニケーションシステムでは、既存のビルシステムを有効活用しながら、安全なクラウドプラットフォームを利用して、最適な設備制御やエンターテイメント系アプリケーション、遠隔監視、デマンド予測など、必要なクラウドサービスを自由に組み合わせて利用することができる。
例えば日本マイクロソフトは、機械学習の仕組みを利用して、ビルの省エネや安全性の高いビル設備制御などを行う次世代建物管理システムを開発している。ビル管理システムから出力される膨大な量のログを、Microsoft Azure Learningで解析することで、ベテラン保守要員が必要だったビル管理をITで自動化することを目指している。またNTTコミュニケーションズでは、セキュアなプラットフォーム構築はもちろん、ビルディングオートメーションの基本機能であるリアルタイムモニタリングシステムを開発している。
東京オリンピックに向けた施設づくりはまだまだこれから。国立競技場跡につくられるメインスタジアムと武蔵野の森総合スポーツ施設は、竹中工務店を中心としたチームで建設することになっているが、具体的にどのようなITシステムを構築するかについては検討の段階だ。
後神氏は、「オリンピック関連施設の建設はより良いスマートシティ実現に寄与するが、同時にいたずらやテロの標的にもなりやすく、情報搾取、機能不全、乗っ取りなどへの、万全なセキュリティ対策が必要になる。一般的には、5年後はまだ先の話しだが、建設業界にとっては、設計・施工の期間を考えると、すでに時間が足りないぐらいだ。しかし5年後の東京は大きく様変わりし、スマートになっていることは間違いない。IT好きのひとりとして、いまから非常にわくわくしている」と締めくくった。
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