Fintechは当たり前のサービスとして普及する有望市場(1/2 ページ)
「Fintechがもたらす産業構造変化とビジネスモデル革新」をテーマに早稲田大学IT戦略研究所の第71回エグゼクティブ・リーダーズ・フォーラム(ELF)定例会ではマネーフォワード、maneo、Squareが各社のビジネスモデルを紹介するとともに、Fintechの今後について活発な議論が展開された。
Fintechがもたらす革新とは
Fintech(Finance+Technology)には、さまざまな定義がある。当初は、家計簿ソフトやクレジットカード決済などの仕組みをクラウドサービスで提供するものだったが、現在では、「既存の金融ビジネスの支援」「金融取引手段の変革」「金融ビジネスの一部代替」「新たな金融仲介」「金融インフラ変革」などに適応領域が拡大している。
例えば既存の金融ビジネスの支援には、資産管理ソフトや人工知能、ロボットなどがあり、金融取引手段の変革には、モバイルの銀行取引や証券取引、ロボットによる株取引などがある。また、金融ビジネスの一部代替では、送金決済をモバイルに置き換えるビジネスやオンラインレンディングなどがある。
早稲田大学ビジネススクール学科長で、ELF代表幹事でもある根来龍之教授は、「日本ではまだ規制の多いFintechですが、すでにビジネスを成功させている企業もあります。例えば、マネーフォワードは金融ビジネスの支援で、maneoは新たなソーシャルレンディングサービスで、Squareはモバイル決済サービスで、新たなビジネスを創出しています」と話す。
Fintechのいまと未来
マネーフォワードは、2012年に高田馬場(東京都新宿区)のマンションの1室で創業したベンチャー企業である。現在、個人向けの資産管理、家計簿管理ツール「Money Forward」を運営するPFM(Personal Financial Management)事業および中小企業向けクラウドサービス事業を展開している。
マネーフォワード代表取締役CEOの辻庸介氏は、「現在、いくらお金を使っているのか、将来いくら必要なのか、教育費はどうすればいいかなど、お金の悩みに答えてくれるサービスが見当たらないのが実情です。こうしたお金に関する悩みを、サービスを通じて解決することが、マネーフォワードのミッションです」と話す。
Money Forwardは、現在2500以上の金融関連サービスと連携しており、お金の流れを自動的に見える化できる個人向けのPFMサービスである。利用者は、銀行口座、クレジットカード、証券、マイル、ネットショッピング、電子マネーなどのデータを入力すると、自動的に分類されて、自身の家計や資産を見える化できる。
登録ユーザー数は、すでに350万人を超えており家計簿利用率は約25%のシェアを有している。連携パートナー企業も豊富で、例えばヤフーファイナンスの資産管理やセゾンカードとのID連携、関西電力のポイント通帳機能など、さまざまなサービスと連携している。
一方、中小企業向けクラウドサービスとしては、会計、確定申告、請求書作成、給与計算、マイナンバー管理、経費精算で構成される「MFクラウド」を提供している。MFクラウドでは、データの自動取得、自動仕分けにより、経営の見える化を実現できる。利用者は、すでに40万ユーザーを超えている。
「MFクラウドは、デバイスとインターネット接続環境があれば、いつでも、どこでも、リアルタイムに経営情報を見える化できます。クラウドが興味深いのは、さまざまなサービスやデータを容易に連携できることです。例えば、レジ機能と会計システムを連携することも可能。さまざまなデータがつながる世界を実現できます」(辻氏)
クラウドサービスは、年平均40パーセントで成長している有望な市場である。米国では、約59パーセントの中小規模事業者がクラウドを活用しているが、日本の利用率は約23%と米国に比べてまだまだ遅れている。辻氏は、「これほどの成長率の市場はあまり多くありません。今後、新たなサービスの提供で、利用率を拡大したいと考えています」と言う。
「クラウドには、メリットとデメリットがありますが、基本的には業務の効率化や生産性の向上が可能になり、経営に専念する時間を増やすことができます。未来を改善するためには、現在を容易に把握することが必要です。それを支援するのが、マネーフォワードの第1歩です」(辻氏)
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