ドラッカーが教える成果をあげる人の8つの習慣

第8の習慣 「私」はではなく「われわれ」を考える(1/2 ページ)

リーダーが身に付けていなければならないもの

ピーター・ドラッカー氏

 今回のテーマは、成果をあげる人の第8の習慣「「私は」ではなく「われわれは」を考える」だ。

 ドラッカーは8つの習慣について次のように言っている。要約として紹介する。

 成果をあげる人は、「なされるべきことを考える」「組織のことを考える」、この2つの習慣によって、自分が果たすべき貢献を見つける。「アクションプランをつくる」「意思決定を行う」「コミュニケーションを行う」「機会に焦点を合わせる」「会議の生産性をあげる」、この5つの習慣によって成果をあげる。

 残りの1つによって組織内の全員に責任感をもたらす。組織内の全員に責任感をもたらす習慣は、リーダーが身に付けていなければならないものだ。今回は、組織内の全員に責任感をもたらすリーダーの習慣ついてお伝えする。

 ドラッカーは1959年に来日し、神奈川県でセミナーを行った。その時にこんな話をした。

 「ある会社で商品システムの責任者と話をしたことがあった。彼の上司は戦略部門の幹部として成長することを期待していた。上司はそれを何度も伝えた。しかし彼は、上司の言葉の重みに気が付かず、今の仕事に没頭するだけだった。やがて、彼に対する上司の期待は消えた。しまいには、会社から転職を勧められるまでに事態は悪化した。彼は自分がどんな間違いをしたか想像もつかなかったと思う。もし彼が、「なされるべきことを考える」「組織のことを考える」、という習慣を身に付けていたら、そんな結果になっていなかったはずだ。そう思うと残念でならない」

組織内の全員に責任感をもたらす

 責任は常に部下ではなく上司にある。前記の事例を異なる視点から考察したい。彼の上司が組織内の全員に責任感をもたらす習慣を身に付けていれば結果は変わっていた。その商品システムの責任者は、自分の仕事から顔をあげて、自分が担うべき責任は何かを考えることができたと思う。成果をあげるために、もう一つ身に付けるべき習慣は何だろうか。

 ドラッカーはこう言っている。

もう一つ身に付けるべき習慣が、「私は」とは言わずに、「われわれは」を考え、「われわれは」ということである。

ピーター・ドラッカー

 「“われわれは”を考える」、それは「組織全体に立って考える」ということだ。「“われわれは”という」、それは組織全体に立った発言をするということだ。これが、やがて組織内の全員に責任感をもたらすことになる。

 一人の善き習慣が組織の文化となり、やがて組織に成果をもたらす。組織の成果に責任をもつ人は、『「私は」とは言わずに、「われわれは」を考える』習慣を身に付けなければならない。組織内の全員に責任感をもたらさなければならないからだ。

部下はリーダーの仕事ぶりを見抜いている

 私は仕事柄、いろいろなエグゼクティブに会う機会がある。どんなに立派なことを言っていても組織内から尊敬されていない人がいる。もちろん、本人はそんなことには気付いていない。部下は上司の前で不遜な態度を見せないからだ。逆に、一見、際立ったものがなく、平凡なように見えて、組織内から尊敬されている人がいる。この両者の違いはどこにあるのだろうか。

 ドラッカーはこう言っている。

最終責任は自らにあることを知らなければならない。最終責任とは誰とも分担できず、誰にも委譲できないものである。トップが権威をもちうるのは、自らのニーズと機会ではなく、組織のニーズと機会を考えるからである。簡単なように聞こえるがそうではない。しかも厳格に守らなければならない。

ピーター・ドラッカー

 役職が高ければ高いほど、自分の仕事を選ぶことができる。トップともなれば自分を叱ってくれる人は誰もいない。組織内の尊敬を受けていない上司は、自分がやりたい事をやっている。部下はそんな上司の仕事ぶりを見抜いている。

 組織内の尊敬を受けている上司は、自分のことは考えない。組織に必要なことは何かを考えて、組織に尽くす。組織内の尊敬を受けていなければ、組織内の全員に責任感をもたらすことはできない。組織内の全員に責任感をもたらすためには、組織のために尽くさなければならない。

経営チーム内の全員に責任感をもたらす

 あなたが社長であれば、私はあなたにこう伝えたい。重要なことを最終的に決定するのはもちろんあなただ。しかし、どんなに自分の考えが正しいと信じていても、少しの間だけ、苛烈な説得はやめてほしい。社長のあなたに勝てる人は誰もいないからだ。

印刷する
SNSでシェア

ドラッカーが教える成果をあげる人の8つの習慣

この連載の記事をもっと見る

この記事の著者

山下淳一郎
山下淳一郎

トップマネジメント株式会社 代表取締役 ドラッカー専門のコンサルタント。コンサルティングファーム出身、上場企業役員を経て、トップマネジメント株式会社を設立。上場企業を始めとして、IT企業の経営チームにドラッカーの理論を活用するコンサルティングを提供している。一般社団法人日本経営協会専任講師、淑徳大学の経営学講師、デジタルハリウッド大学院大学客員教授、ダイヤモンドビジネスタレント派遣講師を務める。著書『ドラッカーに学ぶお客様を幸せにする会社の作り方』(角川フォレスタ)、寄稿に『人材育成の教科書』(ダイヤモンド社)、『企業と人材』、『経済界』、『人事マネジメント』等。

関連記事

ITmedia エグゼクテブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら

ぜひこの機会にお申し込みください。

入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。

入会条件:
上場企業および上場相当企業の課長職以上

※入会は無料です

エグゼクティブコンテンツ

アクセスランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

ITmedia エグゼクティブ SNS

X @itm_executiveをフォロー

インフォメーション

注目情報をチェック

ITmediaエグゼクティブをフォロー