3K、7K、24K「IT人材不評」の犯人はだれ?〜その2:生き残れない経営(3/3 ページ)
ITに携わる人々は状況が刻々変化しているのに、相変わらず昔のあり方を引きずって、形に捉われている。これでは、IT人材を救えない。
しかし、その割に彼らは自分たちに甘く、客観情勢の把握に疎い。「将来のキャリア目標を持っていない」が60.1%、「自分のキャリア目標は実現できると思わない」が62.5%もあり、自分たち自身に随分甘い。さらに、客観情勢に対する認識も甘い。「この産業で働く人材の仕事の内容」が「基本的には現在の延長」が53.0%、「企業で求める人材」が「基本的には現在の延長」が53.8%と、客観情勢の変化やIT人材の変革に半数以上が疎いようだ。
あえて言うなら、企業内のIT人材の実態として見えてくるのは、どうしても内にこもりがちなIT人材が、昔のままの在り方を引きずってはいないか。
所属企業の方向性や将来ビジョンが見えにくいなどと、企業のせいにしていても問題は解決しない。IT人材自らが、変わらなければならない。そして、彼ら自身がしっかりした職業観を持たなければならない。
ITに携わる者が、普遍的に自ら研鑽して身につけなければならないものに「ファンダメンタル・パワー」と「プロフェッショナル・パワー」がある(拙著「迫り来る受難時代を勝ち抜くSEの条件」洋泉社)。後者は主に技術・実務能力だが、前者はIT人材の基本力だ。
ファンダメンタル・パワーは、5点に集約される。(1)フィロソフィーを持て、 (2) 本質を見極める力を養え、(3)創造的思考力を養え、(4)「人間力」がSEを本物にする、(5)ビジネスマインドを鍛える、だ。これを身につけるのは、IT人材自身の責任だ。そうすれば、どういう状況に置かれようと恐れるものはなく、先に光明を見出せる。
企業の姿勢や経営方針と、IT人材本人の心構えと取り組み方で、IT人材の将来は開ける。
著者プロフィール
増岡直二郎(ますおか なおじろう)
日立製作所、八木アンテナ、八木システムエンジニアリングを経て現在、「nao IT研究所」代表。その間経営、事業企画、製造、情報システム、営業統括、保守などの部門を経験し、IT導入にも直接かかわってきた。執筆・講演・大学非常勤講師・企業指導などで活躍中。著書に「IT導入は企業を危うくする」(洋泉社)、「迫りくる受難時代を勝ち抜くSEの条件」(洋泉社)。
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