口コミの力:海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(3/3 ページ)
マーケティングという言葉が存在する前から、世界中で人々を繋いでいた「口コミ」。さまざまなマーケティング手法が繰り広げられる中、常に話題になるのはなぜか。それは人間の本能だから。ではどのように口コミを活用するのか。
理想的な顧客のライフサイクル 7ステップ
6、リピートする:また購入してもらうためにカギになるのは、最初の購入で最大限の価値を提供することである
7、推薦する:顧客は推薦することで「報酬なしのセールススタッフ」になることができる。直接顔を合わせるイベントやオンラインの催しものを促進し、顧客を集め教育すること
このライフサイクルに適切に対処することで、顧客を自社や自社製品およびサービスの 熱心な伝道者に変えることができます。紹介を求める際は、常に体系的でなければなりません。顧客と最後に連絡を取った日付を記入するカレンダーを作ってください。顧客への連絡は30日以上間を空けてはいけません。
また、顧客がビジネスを紹介してくれた時、顧客は得ができるようになっていなければなりません。そして、もちろん、感謝の言葉を述べるだけでなく、思いがけないプレゼントを贈ることも大切です。自社が望む方法でできるだけ簡単に顧客が紹介できるようにしましょう。
ここでは紹介のシステムを確立することによって多くのメリットを得ることができると言及しています。どんなシステムを作るべきかといえばここに書いてある「理想的な顧客のライフサイクル」であり、これをいかに自社の製品や社内の環境に合わせて顧客と付き合っていくのか? ということを考えることが必要です。
紹介数をふやすための戦略とは
紹介の数を増やすには、正式な戦略を立てる必要があります。まず、会社は「人に話したくなる中心的特異点」を持つ必要があります。つまり、会社や製品を特別なものにし、ライバル社達を引き離す事のできるものを持っていなければならないということです。「人に話したくなる中心的特異点」は顧客が喜び驚くものでなければなりません。
見込み客に自分の会社は特別な会社だと思ってもらう必要があります。例えば、カリフォルニア州にあるチーズボード・ピザ・コレクティブ社は、ピザ屋のシンプルな概念を覆しました。様々な種類のピザを提供するのではなく、日替わりで1種類のピザを提供するようにしたのです。
その結果、顧客は日替わりピザを求め長い列を作るようになり、同社は独自の成功を収めました。また、「限定的な理想の顧客」の紹介が必要です。全ての見込み客を獲得しようとしないでください。
逆説的になりますが、望ましい顧客タイプに力を注ぎ続けることで、良い顧客に力を注ぐ時間とエネルギーを得ることができます。そうすることで、常に自社に適さない顧客を他社に紹介することが可能になり、それによって紹介システムを構築することができます。
マーケティングはかつて、4つのP(Product:製品、Pricing:価格設定、Place:場所、Promotion:宣伝)を重要視していました。
今日、インターネットのおかげでマーケティングは4つのC(Content:内容、Context:背景、Connection:繋がり、Community:コミュニティ)に焦点を当てています。内容とは、企業がブログやワークショップ、ウェブ放送や報告書などで顧客に提供する情報のことです。背景とは、自社製品の価値を顧客の生活に適合させる能力のことです。
繋がりとは、見込み客を見込み客の提示する条件とスケジュールに合わせて自社に関与させることです。そして、コミュニティは、多くの場合オンラインで生まれ、共通の利益に関心を持っています。「融合ビジネス」はその全てを兼ね備え、ハイテクになると同時に人間らしさを持つことで成功を収めることができます。
4つのCのパラダイムの中では、内容が1番大切です。マーケティングは全て、質の高い内容によって押し進められなければなりません。そして、それを導くのは「魅力的な報告書」です。このような主要なツールを使って見込み客や顧客、サプライヤーや従業員に何が 会社を動かしているか伝えてください。
その際、クリエイティブになってください。気のきいた見出しを考え、企業がどのように報告書の読み手の手助けができるのか説明した説得力のある文章を書き、それに顧客からの引用や称賛の言葉を添えてください。そして、行動を促す言葉で締めくくり、最後に連絡先を添えてください。質の高い内容を伝える形式には他にも、演説、広告、広報活動用の物語、署名入り記事、電子ブックなどがあります。
会社のブログは、4つのC全てを生み出す場になる事ができます。最も沢山の口コミを生み出している企業は通常、人気のあるブログを持っています。もし人の心をつかむような記事が書ければ、検索エンジンから沢山のユーザーにアクセスしてもらえます。
まず、ライバル社のブログを含め、自分の業界に関するブログを定期的に読むようにしましょう。そして、読んだブログにコメントを残してください。そうすることで、そのコメントを読んだユーザーが、あなたのブログでは何が書かれているのか知りたいと思ってトラックバックしてくれるかもしれません。
ブログは多くの場合(少なくとも頻繁に)、大きな注目を集めます。ブログの記事には、理想の顧客が情報の検索に使うだろうキーワードを織り込まなければなりません。また、ポッドキャストやオンライン動画なども、質の高い内容を伝える手段として素晴らしいものです。
ここでは紹介者システムを戦略的に確立するためのノウハウについて書かれています。顧客のウオンツに対してフィットしたものが自社の製品やサービスの中では何があるのか、そこから考えていく必要があります。まさにそれは他社と全く異なることで顧客の注目を集めることになるわけです。それをマーケティングにおける4つのパラダイムに落としこむことが大切といえるでしょう。
著者紹介
ジョン・ヤンツは、ソーシャル・メディア・パブリッシャーであると同時に、デジタル技術およびマーケティングのビジネスコーチを務めています。小規模事業のためのマーケティングマニュアルである「Duct Tape Marketing」という著書があります。
プロフィール:鬼塚俊宏ストラテジィエレメント社長
経営コンサルタント(ビジネスモデルコンサルタント・セールスコピーライター)。経営コンサルタントとして、上場企業から個人プロフェッショナルまで、420社以上(1400案件以上)の企業経営を支援。特に集客モデルの構築とビジネスモデルプロデュースを得意とする。またセールスコピーライターという肩書も持ち、そのライティングスキルを生かしたマーケティング施策は、多くの企業を「高収益企業」へと変貌させてきた。
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