あなたはこの人生で「お金」を選びますか、それとも「生きがい」を求めますか?:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
現在われわれが直面しているのは「正解が何だか分からない」状態。やってみなければ、試行錯誤してみなければ「何が正解で、何が不正解か」すら、分からない今をどう生きるか。
だから、かつての勝者より挫折から這い上がった人間の方が、その方策を身に着けているがゆえに、成果を出しやすくなっているのかもしれません。その大原則は、小さく試して、当たりとつけたら素早く実行ということになるでしょう。「トライア アンド エラー」そのものですが、肝心なのはトライアル準備で、小さく試す前にああでもない、こうでもないというさまざまな思考を「たたき台」に収束させます。
その「たたき台」を持って、上司や専門家の意見を仰ぐのもいいでしょう。そしてその「たたき台」案を小さく実行してみる。そこで小さな手ごたえが感じられれば前に進む、感じられなかったら、何が原因なのかを探り、修正、微修正を行って再実行というプロセスを繰り返すのです。その試行錯誤が成果を手繰り寄せてくれるに違いありません。
あなたはこの人生で「お金」を選びますか、それとも「生きがい」を求めますか
もう30年以上も前のことになりますが、わたしは予備校のある先生から「山は一足跳びに山頂へ上がるより、一歩ずつ登るほうが満足度が高い」という話を聞いたことがあります。
彼は、黒板の下の方に横軸を引いて、そこに時間と書き込みました。次に縦軸を描いて、そこには成長度と書いたのです。そして、同じ成長度ですが、短い時間で成長した三角形とその2倍位の時間をかけて成長した三角形を書いて、その面積が満足度だと話してくれたのです。つまり、同じレベルにまで成長するのに、人の2倍の時間がかかってもそれは満足度が2倍になるという励ましの言葉だったのです。
先生は人生を山登りに例えましたが、やはりたった一度の人生ですから、その満足度はマックスにしたいものです。そこで問題となるのが、「お金」を追いかける方が豊かな人生になるのか、「生きがい」を選んだ方が燃焼感のある人生になるのか、はたまたそれらの両立も可能なのかということです。
正直わたし自身は、20代ではお金を追いかけた時代もありました。しかし、その結果は、お金を追いかけると、お金は逃げていってしまうという教訓しか残りませんでした。しかし40代は文字通り、自分の人生の刈り取りの時期となり、「生きがい」の部分では好きな仕事に没頭して成果が出せたという自己効力感を持つことができましたし、「お金」の部分でも一定の満足感は持っています。あえて、「一定」と断っているのは当然ですが底流には「もっとできたのに」という思いがあるからです。
そして50代を迎えて、自分の周りを眺め、自分の過去も振り返って思うのは、能力はそこそこでも、テーマを絞って時間さえ余分にかければ、人生なんとかなるということです。それはもう確信です。
さらには、「お金」ではなく、いい仕事を追いかけると、その後から「お金」がついてくるという真実も知りました。
リスクを取らなければ、リターンはありません。これは仕事も人生も一緒です。しかし、何が正解かを知ってからでないとリスクを取れない人は、リターンにはありつけないでしょう。
でも、リスクを取るのが怖い――。
そんな人のためにとっておきの技を。
リスクは小分けして、自分の取れるサイズにまで小さく分解するのです。そして小さく試して、当たりをつけたら、すばやく実行が大原則でしたね。チャレンジだって自分に「できる」サイズにすれば、誰だってできるのです。
だとしたら、やらない手はないですよね。
著者プロフィール:大塚 寿
1962年、群馬県生まれ。株式会社リクルートを経て、アメリカ国際経営大学院(サンダーバード校)でMBAを取得。現在、現場の取材を重ねた上で事務局と一緒に作り上げるオーダーメードの営業研修、マネジメント研修を展開するエマメイコーポレーション代表取締役。
著書に「40代を後悔しない50のリスト」「30代を後悔しない50のリスト」「ビジネスパーソンのための結婚を後悔しない50のリスト」(以上ダイヤモンド社)、「リクルート流」「職場活性化の『すごい!』手法」(PHP研究所)、「『資料送っておいて』と言われたらチャンスと思え!」(双葉新書)など多数。
25万部のベストセラー「後悔しない50のリスト」シリーズは韓国、中国、台湾でも翻訳され、日本同様にヒットし注目を集めている。
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