採用戦線異状あり! 本郷周辺をリサーチするスーツ集団の正体!:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
アベノミクス効果で業績がアップした企業は新卒採用に積極的に乗り出しているが、求めているのは数より質。採用方法はどのように変わるのか。
採用8割、場が2割
われわれは「採用8割、場が2割」と捉えているため、最も重要なのは採用する人材の質ですが、優秀さに加えて、自社に最適な人材を採ることも大切です。ひまわりの種をまかないとひまわりは咲かないし、バラの種をまかないとバラの花は咲きません。ひまわりとバラのどちらがいい悪いではなく、最適な人材を採らなければいけないのです。
そういう人材を見つけて採用し、うまく育てれば大輪の花が咲く――はずなのです。もし、そうなっていないとすれば、買ってきた花の種類を間違えているか、2割に当たる部分の、育てるための環境や場が整っていないということになります。
もし、スカウト型採用に取り組んでも、会社の将来のために全社員で採用して、全社員で育てるという意識がなければ、辞退率が増えるだけで終わります。たとえ、採用できたとしても、優秀な人材が失望して退職率が高まるだけです。
しかし、逆に言えば、全社員が、「会社の将来のために新人を育てていこう」「花を咲かせていこう」と意識を変えることができたら、会社は大きく変わります。大きく飛躍します。
新卒採用のルール変更は、改革のチャンス
ここに面白いデータがあります。マイナビが毎年発表している「大学生就職企業人気ランキング」で、注目すべきは2008年卒です。特定の企業の名前を書くことはしませんが、その理系版を見てみると、いま苦境に陥って大規模なリストラを進めている会社がいくつもランクインしています。一方で、この10年間の間に株価を大きく上げてきたのは、中小の成長企業です。プロ野球のオーナー会社を見ても、この10年、20年の間に、いくつかメンバーが入れ替わっています。
これを見て分かるのは、学生(および親)の会社を見る目と、現実との間には大きな差があるということです。待ちの採用戦略をしている限り、いくら業界が注目する成長企業であっても、学生にとっては知名度が低く、優秀な学生が集まりません。このことは、成長企業にとっても、優秀な学生にとっても不幸なことです。
だからこそ、このミスマッチを解消するためにも、スカウト型採用で優秀な学生に会って、志ある若者を「うちに来い!」と堂々と口説きに行くことが重要なのです。
本書『知名度ゼロでも「この会社で働きたい」と思われる社長の採用ルール48』は、中小・ベンチャー企業の経営者からよく聞く「新卒採用はうまくいかない」という声に対して、「絶対にそんなことはない」ということを伝えるために、具体的な採用方法を書きました。
ですが、書いてある内容は、いまの日本経済を牽引している大企業にも通じる内容です。繰り返しますが、企業が成長するために必要なのは、採用8割、場が2割です。学生たちに「この会社で働きたい」と思われる企業は、そこで働く社員にとっても同じ気持ちになるはずです。
ビジネスの第一線でリーダーとして活躍している人にこそ、本書で紹介する新卒採用のプロセスに積極的に関わり、成長する仕組み作りに取り組んでもらいたいと思います。新卒採用のルールが変わるいまこそ、改革のチャンスです。
著者プロフィール:井上 和幸(いのうえ かずゆき)
経営者JP社長
7000名の経営者・幹部から導き出した成功する経営・人材を伝える人材コンサルタント。1989~92年にリクルートの人材開発部(採用セクション)にて大卒採用・専門職採用・採用広報業務等に携わり、同社の広報室を経て、キャリア情報誌の創刊・NET媒体立ち上げる。その後、2000~03年、採用コンサルティング会社取締役としてファーストリティリング、セブンイレブン、トイザらス、シスコシステムズ等の新卒採用・中途採用プロジェクトを手がけた後、経営者JPを設立。
著者プロフィール:曽和 利光(そわ としみつ)
人材研究所社長
リクルート採用責任者、ベンチャー人事部長として2万人を面接した人事コンサルタント。1995~08年、リクルート人事部にて主に採用、教育、新人事制度の構築、組織人事コンサルティング業務に携わり、ゼネラルマネジャーを務める。その後、ライフネット生命総務部長(人事責任者)等を歴任した後、人材研究所を設立。
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