5年後「必要な人材」でいられる自信はありますか?:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
「求められる人」には共通点がいくつかあり、それは誰にでもできるようなほんのちょっとしたこと。物事をどう考えるか、それに基づいてどう行動するかである。
「出世競争」に必死に食らいつく
「出世さえすれば、将来は安泰」
そう考えて、社内評価を上げるために何らかの結果を出そうとしたり、社内で出世しそうな人を見極めて、自分を引っ張り上げてもらおうと努力している人。組織があるところにはこうした出世競争は必ずあり、多くの人がこれに進んで巻き込まれていきます。
しかし出世競争を勝ち抜きたいという思いは、「会社は永遠に続く」という大前提があってこそ生まれるもの。この前提は、これからの時代では通用しません。ですから、出世競争に身を置くことは、不毛でしかないのです。
現在、会社の平均寿命は10年程度になっていると言われています。このような現状で、1つの会社の出世競争に勝ち抜くことに、価値はあるのでしょうか?
またこれからは、部署や社内・社外といった枠組みに頼らない「プロジェクトワーク型」の仕事が進みます。1つの事業に対して、その都度「使える人」を適材適所に配置する。そんな世の中で、1つの会社の1つの固定的なポジションにこだわることには、何の意味もなくなってきます。
今後求められる人材になりたいのであれば、出世競争から一歩離れて、自分自身の能力や現在のレベル、また自分が本当にやりたいことは何かを、冷静に見つめることを優先すべきなのです。
「今やっている仕事は、どれくらいの報酬に値するものなのか?」
「今やっている仕事は、これから先も続けていきたいと思えるものなのか?」
「今の自分は、他者から見てどんな価値があるのだろうか?」
仕事の目的と、そのためになすべきことだけを見据えて行動することで、報酬も含めて結果は自然とついてきます。ムダな精神力を消耗して、結果的に居場所や目的を見失わないよう、意識的に出世競争からは距離を置きましょう。
拙著「5年後も会社から求められる人、捨てられる人」では、このように現在のビジネスマンの間でありがちな「勘違い」を多数紹介していますが、こうした各論に共通しているのは、「目的を明確にし、そのためにやるべきことをやっているか」ということです。
自分の行動を一つひとつ振り返ってみたときに、その仕事で自分が何をしたいのか、どうなりたいのか、そこからズレた行動をしていないかどうか。漠然と「できるビジネスマンの間では、こういうのが流行っているから」という理由だけで動いていないか。
今からそのズレを修正できれば、5年後にも「求められる人材」でい続けることができるでしょう。
著者プロフィール:井上 和幸(いのうえ かずゆき)
1966年群馬県生まれ。1989年早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。人材開発部、広報室、学び事業部企画室・インターネット推進室を経て、2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年より株式会社リクルート・エックス(2006年、リクルートエグゼクティブエージェントに社名変更)。エグゼクティブコンサルタント、事業企画室長を経て、マネージングディレクターに就任。2009年9月に同社を退任退職。2010年2月に株式会社経営者JPを設立(2010年4月創業)、代表取締役社長・CEOに就任。
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