リーダーこそ「小説」を読もう!!:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
経営者やリーダーの職についている人は読書をする機会も多いだろうが、先日『アクションリーディング』を上梓した赤羽雄二さんは、リーダーこそ「小説を読んだほうがよい」と提案する。また、コミュニケーションに関する本についても勧めている。その理由はどこにあるのだろうか?
結果だけ重視して、人の気持ち、痛みが分からない人は、仕事上何かと問題を起こします。上司や周囲の人に注意されて、「人の気持ち、痛みをもっと感じるようにならなくては」と頭では分かっていても、感覚としてよく分からず、対処法を間違えることがあります。
ひどい人は、上司や周囲の人に注意されても、「何を言っているんだ。そんな弱気なことを言っているからうまくいかないんだ」くらいに思い、攻撃的にもなります。しかも殻に閉じこもっているので、周囲は手をこまねく状況になります。
こういう人は、当然ながらあまり成長しません。人の上に立つこともできません。たまたま何かの業績を上げて昇進することがありますが、そうなると「人の気持ちが全然分からないダメ上司」「パワハラ上司」「上しか見ない上司」「ごますり上司」になってしまいます。
結果を出すことしか考えず、「すべて自分がやった」「できない部下は足手まといだ」くらいにしか考えていないので、人望がまったくないのです。組織がそれなりに健全で自浄作用が働いている場合、こういう人は遅かれ早かれ馬脚を現わし、閑職に追いやられていきます。あるいは元のポジションからあまり昇進できなくなっていきます。
仕事は差し当たりできるけれど人望がなく、たとえリーダーになっても、部下は思ったように動いてくれず、空回りします。
そうならないために読んでほしいのが、小説や心理学、コミュニケーションの本です。
小説であれば、部下の立場や上司の気持ちがよく分かったり、違う世代の考えが理解できたりします。『坂の上の雲』『三国志』などのロングセラーも、人の心の動きを知る上でぜひ読んでほしい本です。
もう一つ、ちょっと意外かもしれないお勧めがあります。『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(仁科友里著(主婦と生活社)です。
どうして婚活がうまくいかないのかと悩む女性に対して、何が間違っているのかを解説する本ですが、タイトルの軽さに比して、男性心理とコミュニケーションについてかなり的確に説明しています。
また、『キレる女 懲りない男』(黒川伊保子著 筑摩書房)は、男女の違いを書いた本のなかでも特別分かりやすく、著者の洞察力を感じます。異性とのコミュニケーション、人間関係に悩んでいる人には強くお勧めです。
こうした読書を続けていくと、何かのきっかけから、だんだんと苦手であった人の気持ちへの理解が深まり、相手の気持ちが想像できるようになっていきます。
すべてのことがそれまでとは違った色で見え、楽しくなってきます。自分の態度が変わるので、周囲の反応が変わり、好循環が起き始めます。
いつも経営書ばかり読んでいる人は、たまには、こうした本も眺めてみるとよいでしょう。
著者プロフィール:赤羽雄二(あかば ゆうじ)
東京大学工学部を1978年に卒業後、小松製作所で建設現場用ダンプトラックの設計・開発に携わる。1983年よりスタンフォード大学大学院に留学し、機械工学修士、修士上級課程を修了。1986年、マッキンゼーに入社。経営戦略の立案と実行支援、新組織の設計と導入、マーケティング、新事業立ち上げなど多数のプロジェクトをリード。1990年にはマッキンゼーソウルオフィスをゼロから立ち上げ、120名強に成長させる原動力となるとともに、韓国企業、特にLGグループの世界的な躍進を支えた。2002年、「日本発の世界的ベンチャー」を1社でも多く生み出すことを使命としてブレークスルーパートナーズ株式会社を共同創業。最近は、大企業の経営改革、経営人材育成、新事業創出、オープンイノベーションにも積極的に取り組んでいる。著書に『ゼロ秒思考』『速さは全てを解決する』(ダイヤモンド社)、『マンガでわかる! マッキンゼー式ロジカルシンキング』『マンガでわかる!マッキンゼー式リーダー論』(宝島社)、『もうこれで英語に挫折しない』(祥伝社)、『アクションリーディング』(SBクリエイティブ)などがある。
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