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デジタル化時代のヘルスケア企業の長期ビジョンと中期経営計画視点(2/2 ページ)

中長期のヘルスケア業界を形作る4つのキートレンドを組み込んだ上で、デジタル技術をいかに取り込んでいくかを明確にする必要がある。

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 斯様な個別化医療の浸透段階において、デジタルヘルスのビジネスモデルを提供する新たなプレーヤーが存在感を増してくるであろう。すなわち、医療機関や一般市民から1次データを収集する「データ・コレクター」、収集したデータを解析可能な2次データに加工して提供する「データ・プラットフォーマー」、分析結果をもとに企業や患者に向けてアドバイスを提供する「B2B/B2Cヘルス・アドバイザー」の3タイプのプレイヤーである。彼らはデジタル技術を武器に、社会全体の「ヘルスアウトカム」を向上させるための新たな価値提供を担うであろう。

「コト売り」ビジネスモデルへの転換

 斯様なデジタル化社会においては、モノ(薬や機器)だけではなくコト(情報やサービス)が価値を生む。これまでの「モノ売り」とは全く異なるケイパビリティが求められる「コト売り」ビジネスモデル構築にむけた、伝統的な製薬企業・医療機器メーカーと異業種との連携が重要性を増すであろう。

ビジネスモデル転換時に重要な長期ビジョンと中期経営計画策定

 ヘルスケア業界はデジタル技術の進歩により個別化医療へ向かう。その中で、企業にとって新たなビジネスモデルを構築する指針となる長期ビジョンや中期経営計画は必須だ。長期ビジョンや中期経営計画を、今のリーダーだけでなく次期リーダーとなるメンバーを巻き込み策定することで、あるべき姿や夢を共有でき、新たなビジネスモデルアイデアが発見できる。更に、次期リーダーが自社の未来を自分の手で描く事で、次期リーダーの経営の「自分ゴト化」を促し会社へのさらなるコミットが期待できるであろう。

著者プロフィール

服部浄児(Joji Hattori)

ローランド・ベルガー プリンシパル

一橋大学社会学部卒業後、伊藤忠商事、A.T.カーニーを経てローランド・ベルガーに参画。東京、中国、ドイツ勤務を通じ、日本企業のグローバル戦略立案と実行を現地で支援。帰国と同時に武田薬品工業に参画、経営企画業務に従事した後、ローランド・ベルガー東京オフィスに復職。約19年間の戦略コンサルティング歴を有する。


著者プロフィール

尾崎宥文(Hirofumi Ozaki)

京都大学医学部卒業後、日本赤十字社医療センター、東京大学医学部附属病院麻酔科を経てローランド・ベルガーに参画。製薬業界、医療機器業界を中心に中計策定等のプロジェクト経験を有する。


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