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eVTOL 自動運転に見る新しいモビリティー事業化のカギ視点(2/2 ページ)

モビリティーに限っても、ここ5年程度で技術革新に伴い、新しいサービスの実用化や実証実験が進んでいる。

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Roland Berger
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 そして、新しいモビリティーはこれまで見たことも使ったこともないものであることから、安心感を与え受け入れてもらう取組みを丁寧に行い、(7)社会受容性を醸成していくこととなる。全く新しいモビリティーの実用化には多様な要件が必要である。一つでも欠けると実用化に至らない。一方で、特定の要件のみに必要以上の取組みを行ってもそれは無駄となる。全体としてのゴールを見定めながら、足並みをそろえて進めていくことが必要である。

3、事業化に向けて、まず需要のあるシーンを見つける

 新しいモビリティーによるビジネス化に向け、まずは需要のあるシーンを見つけることが最初のステップではないか。需要のあるシーンとは、つまりお金を払って、新しいモビリティーを使いたいと考えるユーザーを見つけるということである。そのためには、既存のモビリティーから新しいモビリティーに移行してくれる合理的な理由が必要であり、それは移動コストが下がる、より早い・待たないなど利便性が高まる、積替えや乗り換えといったテマが減る、などが考えらえる。もちろん、新しいモビリティーだからこその新しい移動需要を生み出すことも考えられる。

 需要のあるシーンをまず見つけること、それはビジネスの大前提であるお金を払ってくれる人が見つかるということであり、ゴールが明確になるということである。それにより、ゴールに向かって、技術開発・インフラ整備・ビジネスモデル作りなど、ビジネス実現に必要な取組みを迷うことなく進められるようになり、かつ無駄なことをしなくて済むようになる。また、ゴールが見えていることで、同じゴールを目指したいと共感してくれるパートナー探しもよりスムーズに進むだろう。

4、おわりに

 多様な新しいモビリティーやサービスが生まれている。eVTOL・自動運転・ライドシェアリングを冒頭にあげたが、1人乗りモビリティー・電動キックボードのシェアリング・乗り捨て可能なカーシェアリングなど、いろいろな広がりが存在する。しかし、それらが事業として成り立つには、誰にどのような価値を提供することでお金をいただくのか組み立てることが必要である。つまりお金を払ってよいという需要を特定することが、事業化への第一歩になるのではないか。

著者プロフィール

山本和一(Waichi Yamamoto)

ローランド・ベルガー プリンシパル

慶應義塾大学理工学研究科修士課程修了後、ローランド・ベルガーへ参画。自動車、航空の分野を中心に、中長期ロードマップ作成、事業戦略、販売・マーケティング戦略、ブランド戦略、コストマネジメントなど、多様なプロジェクトの経験を持つ。


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