言葉は武器である。明石家さんまさんと島田紳助さんから学べ:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
ストライクゾーンはすぐそこである。さあ、あとは投げるだけである。勇気があるかどうか?
なぜか? 僕らは自分の身体にエンジンがあるわけではない。そうではなく、脳や心が励まして前進する動物である。だからこそ、大切なのは、言葉の勇気である。「翼をさずける」といわれると、元気が出るような気がする。
そう、エネルギーが欲しいわけではなく、元気が欲しいのだ。励ましてほしいのだ。だからこそレッドブルは、600億円を超える売上を誇っている。
同様の会話をしているのはアップルやテスラもだ。性能や航続距離ではない。それを所有し、使うことで元気になるのだ。アップル社のYouTubeを見ていると勇気が湧いてくる。
「走ってみよう」「なにか音楽を作ろう」「編集をしてみよう」「そうだ、動画を撮ってみよう」と、人生を変えてくれそうな気がする。だから多くの人はアップルに魅了される。性能の話はほとんどない。
テスラもそうだ。テスラは自動車を売っているわけではない。テスラという新しい乗り物の世界観を描いているのだ。そこが大切だ。トークも同じだ。あなたの世界観をつくればいい。そのためにはあなたと相手の間に小さな宇宙が大切だ。できる限り小さな空間が必要だ。
相手に話をさせる明石家さんまさん方式だと距離が近くなる。だが質問攻撃はNGである。「予算はいくらですか?」と聞いてはダメである。それよりも「12万円だと高すぎですよね?」と同調のトークに持ってゆくのである。それが明石家さんまさん風、距離の縮め方である。
もう1人のトークの達人は島田紳助さんである。島田さんは努力の塊だ。ロジックで攻めている。トークの速度まで計算している。以前なにかで話していたのだが、島田さんは漫才ブームの時、何冊もノートを持っていてそれを分析していたという。
島田さんは相手の弱点を見つけることが得意である。そこをトークで誇示して、嫌がられるところをお笑いにつなげている。そして相手も見ている。島田さんに弄(ろう)してほしいと思っている人もいる。なぜならオイシイしいからだ。突っ込まれるだけでいい。
トークは分析と実践である。面白いトークが武器である。世の中、テレビの中では会話だけで何億も稼ぐタレントさんがいる。そこから学ぶのが一番早いのだ。ぜひとも。
著者プロフィール:野呂エイシロウ
1967年生まれ 愛知工業大学卒業。学生起業家として活躍後、雑誌編集者に。「天才たけしの元気出るテレビ」で放送作家に。「鉄腕DASH」「特命リサーチ200X」「奇跡体験アンビリバボー」「ズームイン スーパー」など。30歳の時、大手広告代理店に誘われたのがきっかけで戦略的PRコンサルタントへ。
TV番組をヒットさせるのと、企業のPRを成功させることの共通点で、独自の手法を発揮。これまでに大手広告代理店をはじめ、150社以上と契約。自動車会社、家電メーカー、飲食チェーン店、飲料メーカー、学習塾など、分野は多岐にわたる。なぜか外資系企業からの依頼が多く、match.com(マッチ・ドットコム)、gilt groupe(ギルト・グループ)Groupon、(グルーポン)、Expedia(エクスペディア)、hulu(フルー)、有名ブランドなどを成功に導く。その他、金融機関、投資ファンドなどと数多く契約。傾向としては、マスコミの動向を常につかみながら最適な戦略&戦術を立案。リリースも独自の手法で、高採用を誇る。「うちの会社を面白くしてくれ」といわれてコンサルに入ることも多数。
著書に、『プレスリリースはラブレター』(万来舎)、『終わらす技術』(フォレスト出版)、『「話のおもしろい人」の法則』(アスコム)『成功を決めるのは才能よりも運』(大和書房)、『儲かる日本語 損する日本語 相手の心が思わず動く24の法則』(祥伝社)
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